難民の自立を促すウィーンのミュージアム訪問

ウィーンの博物館を訪れ、自分たちの体温が映し出されたスクリーンを見るアフガン難民たち
© UNHCR/Stefanie J Steindl

ある夏の暑い日、オーストリアの首都ウィーンにある博物館でのこと。クーラーの効いた館内で、自分の体からどのように熱が発せられているか、スクリーンに映し出されています。

「まるでアートのようだけど、これがサイエンスなんだ」

一行は、アフガニスタンから逃れてきた難民たち。「オーストリアの文化をもっと学びたいと思って、市内のミュージアムへの訪問を始めました」。多くの場所を訪れることで、この土地の美しい文化が好きになったと話します。

彼らの訪問をサポートするのは「Refugees for Refugees(R4R)」。150人の難民メンバーが所属するこの団体は、チリ出身の弁護士カロリナの独創的な考えから始まりました。

「ボランティアとして難民センターで働いていた時、食べ物や毛布などの緊急支援物資だけでは足りないと気づいたんです。それは生きる糧として、難民たちの目標を探すことでした」

その始まりとして、ウィーンに逃れてきたばかりの時にいた難民センターの清掃を難民自身が担うことに。「少しですがお金を稼ぐことができるようになり、自尊心を取り戻すことができました」。現在R4Rの代表を務めるファヒムは、そう振り返ります。

市のサポートも得ながら、センター内の庭や床屋、洋服仕立てのワークショップなどの仕事を得る人も出てきて、さらに、サッカーやバレーボールなどのスポーツチーム、観劇のグループができたりと、R4Rの活動は広がっています。

難民センターは閉鎖してしまったため、今は代わりとなる場所を探しているそう。そんななか、ミュージアム訪問はみんなが簡単に集まることができる良い機会になっています。

一方で、世界で“一番住みやすい街”にも選ばれているウィーンに住みながら、不安を抱える人もいます。

難民認定を受ければオーストリア国民と同様、有給の仕事を得る権利があります。しかしたとえ技術があっても、難民申請中は何年も仕事なしで暮らすことも少なくありません。

自分の持つスキルが求められる日を夢見て、今も待ち続けている人がいるのです。

 

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