第三国定住

第三国での生活の新しいスタート

第三国定住の3つの機能

  1. 第三国定住は、国際保護を提供し、避難国で生命、自由、安全、健康その他の基本的権利が脅かされている難民の特別なニーズに応えるための手段のひとつです。
  2. 第三国定住は、自主帰還および庇護国社会への統合といった他の方法と並んで、恒久的解決策のひとつです。
  3. 第三国定住は、国際連帯が目に見える形で表れたものであり、諸国がおたがいの責任を共有するのに役立ち、一次庇護国に影響を及ぼす問題を少なくすることにつながります。

第三国定住を行う条件

第三国定住の候補者となるかどうかを検討するうえで、前提となる条件が3つあります。

  1. 申請者がUNHCRにより難民として認定されていること。
  2. すべての恒久的解決策についての見通しの評価が実施され、その結果第三国定住が最適な解決策であることが確認されていること。
  3. ただし、難民ではないが第三国定住が最適な恒久的解決策と考えられる無国籍者の場合や、難民ではないが特定の扶養家族との家族の結合を維持するために第三国定住を行う場合は、これに当たらない。

前提条件を満たしたうえで、第三国定住候補として受け入れ国へ提出されるためには、7つのカテゴリーのうちの少なくとも1つの条件を満たしている必要があります。

1. 法的・身体的保護のニーズ

避難国における難民の継続的滞在が深刻に脅かされている場合(ルフールマンの脅威も含む)

2. 拷問や暴力のサバイバー

帰還または庇護国での状況がさらなるトラウマを生み、リスクを高める可能性がある場合、または適切な対応を行うことができない場合

3. 医療ニーズ

特に命に関わる治療を避難国で行うことができない場合

4. 危機に瀕する可能性のある女性および少女

女性であることで固有の保護上の問題に直面している場合

5. 家族の再統合

逃避や避難により国境または大陸を越えて離散している難民の家族にとって、第三国定住が家族の再統合のための唯一の手段である場合

6. 危機に瀕する可能性のある子どもおよび若年者

子どもの最善利益認定みより、第三国定住が必要と認められた場合

7. 恒久的解決策の選択肢に実現の見通しがない場合

一般的に、他の解決策が近い将来に実現する可能性が低いため、第三国定住がより包括的な解決への道を開く可能性がある場合

第三国定住の現状

現在、少数の国家のみがUNHCRの第三国定住プログラムを通じた難民の受け入れを実施しています。アメリカ合衆国が世界最大の第三国定住受け入れ国ですが、オーストラリア、カナダ、そして北欧諸国も毎年相当な受け入れをしています。また、近年、ヨーロッパやラテンアメリカ諸国でも第三国定住受け入れを始める国の数が増加しています。多くの場合、第三国定住受け入れ国は、その国民が享受する市民的・政治的権利や経済的・社会的・文化的権利とほぼ同等の権利を第三国定住難民に与え、法的、身体的な保護を難民に提供しています。また、第三国定住受け入れ国の中で、難民の帰化を認める国も増えてきています。

第三国定住は人生を大きく変える経験です。難民にとっては大変なプロセスではありますが、価値のあることでもあります。難民は多くの場合、社会、言語そして文化も全く異なる新しい国に再定住します。

難民の効果的な受け入れを行い社会統合のために支援を行うことは第三国定住難民、受け入れ国の双方にとって有益です。政府や非政府組織(NGO)は、難民の統合を支援するために、教育や就労機会を得るためのプログラム、その他、文化オリエンテーション、言語と職業訓練などを提供しています。

日本の第三国定住事業

日本は第三国定住パイロット事業を2010年に開始し、第三国定住事業を通じての難民受け入れは、アジア地域では初めての実施例となりました。このパイロット事業を通じて日本は毎年30人前後の難民を当初3年間受け入れる方針を発表し、ミャンマー難民をタイの国境にある難民キャンプから受け入れました。

2012年には、パイロット事業の実施がさらに2年延長されることが決定され、また、対象となるキャンプも合計5つ(2012年には3つ、その後2013年3月に5つに拡大)、選考基準もより弾力的に拡大されました。2014年までに合計86人の難民がパイロット事業を通じて受け入れられました。

その後、2015年から第三国定住事業を実施し、マレーシアに滞在する難民を対象として受け入れを継続しています。それまでミャンマー難民を対象としてきた事業は、2020年に対象者と受け入れ数を拡大し、アジア地域に滞在する難民を対象として年に60人程度受け入れを行っています。UNHCRは、日本の第三国定住に関する主体的な取り組みを歓迎し、成功に向けて共働しています。