【アフリカ特集】職員インタビュー:南スーダン新しい国での挑戦

池田 直史

UNHCR南スーダン事務所 保護官(国連ボランティア/HPC)

 

現在、南スーダンの首都ジュバにいる主にスーダン出身の5,000人あまりの都市部に住む難民(都市難民)の保護や支援を担当しています。都市難民プログラムは、キャンプにいる難民への支援と違う部分が多くあります。例えば都市難民に対する支援は、食糧配給などの面でキャンプにいる難民に比べると限られた支援しか行えないのが現状です。今後は、身寄りのない子どもやお年寄り、障害を持つ難民などより支援を必要としている家庭を割り出し、限られた予算の中でこのような難民を重点的に支援していく予定です。

 

南スーダンは、2011年7月に誕生した世界で最も新しい国です。制度やインフラなどの整備が必要ですが、他方で様々な可能性も秘めています。UNHCRの活動としては難民、帰還民、国内避難民、無国籍者と多様な問題に取り組んでおり、学ぶことがとても多いと感じています。

©UNHCR

ジュバ郊外の仮設の一時滞在所で笑顔を見せる帰還民の子どもたち

 

辛いと感じるのは、現場で難民から厳しい言葉を投げかけられる時です。必死に生きようとしている難民の方々からすれば、提供される支援やサービスをもっと改善して欲しいという不満もあると思います。もちろん批判は真摯に受け止めますし、こちらも最善を尽くしていますが予算上の問題や、他の様々な要因が重なって思うような支援が出来ず、歯がゆい思いをすることもあります。
普段はとても忙しく日々の仕事に追われていますが、やはり自分の担当した保護や支援の仕事に対して難民から感謝の言葉をもらった時などは、嬉しくもあり達成感を感じます。

日本にいるとアフリカの難民問題は遠い事のように感じますが、実際に現場にいて強く感じるのは彼らも私たちと同じように家族や生活があり、同じように考え、暮らしている人間だということです。もちろん、難民は自分の国を追われたという特別な事情はありますが、私たちと同じ等身大の人たちであり、だからこそ彼らの問題に少しでも関心を持ってもらいたいと思います。

©UNHCR

指紋認証を使った難民登録。これはジュバで都市難民を対象に行われたときの様子

 

【TICADVにむけて日本に期待すること】
アフリカへの支援と言っても、それぞれの国によって事情も異なり、人道支援から開発支援まで幅広い問題に対応する必要があります。日本国民及び日本政府からは、これまでもUNHCRの活動に寛大な支援を頂いてきましたが、今回のTICAD Vを契機にその機運を一層高めて頂くことを期待しています。また日本の一番の良さは、その緻密さやきめ細かい対応やサービスにあると思います。アフリカへの支援においても、そうした長所を活かしつつ、現地のニーズにより対応した支援が期待されていると思います。

(2013年4月24日)