ミャンマーのラカイン州での激しい衝突から1年。これまで72万人以上のロヒンギャ難民がバングラデシュのコックスバザールへ避難し、その半分以上は子どもです。
何日もかけて山を越え、川をいかだで渡り、中には泳いで逃れてきた人もいます。妊婦、銃やナイフで傷を負った男性、親とはぐれてしまった子ども、高齢の親戚をなんとか連れてきた家族などさまざまです。
衝突直後の昨年9月、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は現地を訪れ、「彼らは本当になにもかも失っています。私のキャリアの中でも、こんな状況を見たのは初めてです。今、あらゆるものが必要です」と語りました。
大雨のなか逃れてきて疲弊したロヒンギャ難民に、いち早く手を差し伸べたのはバングラデシュ政府でした。感染症防止のため子どもたちにワクチンを接種したり、国内のいたるところから生活必需品が届きました。シェルター建設のために土地を提供した地主もいました。
UNHCRはスタッフを倍増して緊急対応にのぞみ、1500トンを超える緊急キットを空輸で運びました。
UNHCRやNGOに加えて、シェルターの補強や建設には難民自身も携わっています。その1人、ハフィス(30歳)は2週間かけてミャンマーにたどり着いたものの、最初は水不足のため運河から水を引かなければならなかったといいます。でも今では橋がかけられ、トイレや飲食物なども改善されました。あらゆる人々の協力があり、2万4000人もが洪水や土砂崩れから逃れることができました。
目指すべきはミャンマーへの帰還ですが、ロヒンギャたちのふるさとで安全や尊厳などが保障されなければ実現できません。UNHCRは、ミャンマー当局とともにラカイン州の再建に取り組んでいます。
これからは中期的な挑戦に向けて、緊急人道支援から次の段階に進むべき時にきています。日々の生活に必要とされる支援を積み重ねていくことがカギとなり、そのひとつが教育です。自分の言葉で物事を伝える力を得ることで、ロヒンギャの子どもたちは自分たちの力で将来をはぐくむことができるからです。
今もなお、国際社会からさらなるサポートが必要とされています。
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