難民に関するグローバル・コンパクト

<背景>

世界各地で難民が増え続ける一方、難民を受け入れ、支援する国の数は減少しています。難民の6割をわずか10カ国で受け入れているという現実があり、政府の拠出金や第三国定住など別の方法で貢献している国もありますが、そのかかわりも限定的です。

難民問題が拡大、複雑化する昨今、多様なアクターが連携し社会全体で取り組みを進めていくために、国際社会は立ち上がりました。

2016年9月、国連総会で難民と移民の保護を促進するための「ニューヨーク宣言」が採択され、難民と移民、それぞれを柱にしたグローバル・コンパクトが提示されることが決定されました。

UNHCRは同宣言に基づいて制定された「包括的難民支援枠組み(CRRF: Comprehensive Refugee Response Framework)」に沿って、先駆的な難民支援を進めている十数カ国をパイロット国に設定し、CRRFのアプローチを実践してきました。

その教訓と成果を踏まえ、UNHCRは2018年1月に「難民に関するグローバル・コンパクト」の採択に向けてドラフトを国連総会に提出。2018年7月までさまざまなステークホルダーからフィードバックを受けながら改訂が進められ、最終案が提出されました。

2018年12月に国連総会で「難民に関するグローバル・コンパクト」が採択されました。

 

Towards a global compact on refugees (UNHCR本部ウェブサイト)

 

<CRRFとは>

過去数十年の難民保護、受け入れコミュニティに対する支援の経験から得られた難民支援のあり方を示したもの。大量の難民が発生した時にどう対応すべきか、以下のポイントに沿って、国際社会がとるべきアプローチが提示されています。

1. 多様なステークホルダーのかかわり
2. 革新的な人道支援 ~民間セクターとの連携、多様な投資形態など
3. 包括的なアプローチ ~人道支援と開発援助の連携など
4. 長期的な解決策の計画/出身国・受け入れ国・第三国の責任と国際社会による支援

 

Comprehensive Refugee Response Framework(UNHCR本部ウェブサイト)

「難民に関するグローバル・コンパクト」~4つのポイント~

▶ 難民受け入れ国の負担軽減

大量の難民の移動は、受け入れ側のインフラや公的サービスに甚大な影響を及ぼします。

人道支援と開発援助が早い段階から連携することで、難民と受け入れ国・地域双方への効果的な支援につながります。

▶ 難民の自立促進

子どもや若年層への教育、医療サービスへのアクセス拡大はもちろん、その先の自立に向けた取り組みが重要です。

将来の帰還を見据えた上でも、支援に依存しない自立した生活の実現は必要不可欠であり、受け入れ国・地域に貢献しうる人材育成にもつながります。難民に移動や労働の自由を与える政策の実行もカギとなります。

▶ 第三国定住の拡大

第三国定住は、ふるさとへの帰還、庇護国における社会統合と並んで、恒久的な解決策の一つです。

第三国定住の受け入れ数を増やすこと、さらに、家族が暮らす国での定住、人道ビザの発給、奨学生としての受け入れなど、第三国定住の枠にとどまらない柔軟な対応も求められています。

▶ 安全かつ尊厳ある帰還に向けた環境整備

難民発生国の多くが、紛争の解決やさらなる混乱の回避、貧困対策、食糧安全保障の確保、インフラ整備など、困難な課題を抱えています。

難民が安全に、そして尊厳を維持したまま帰還できる環境を作るためにも、難民のふるさとの現状や課題解決に向けた取り組みの拡大が必要とされています。