一歩先の未来に向けて 難民支援に都市の力を

都市が取り組む難民支援のあり方について首長と意見交換したフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官
© UNHCR/Jean Marc Ferré

「世界には、故郷を追われた人を寛容な姿勢で受け入れ、教育や雇用などに投資している都市がある。難民支援のあるべきモデルを実践している先駆者だ」

フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、ヨーロッパ中東、アフリカ、南米などの都市の首長との会議で、避難先で新たな道を切り開くカギとなるのは、受け入れコミュニティの対応だと話しました。

現在、世界の難民の数は約2540万人。難民=キャンプというイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際は、その約6割が都市部に暮らしています。そこで重要となるのが、難民の受け入れ側となる自治体の役割です。

エクアドルの首都キトの市長は、コロンビアやベネズエラなどから何千万人もの難民や移民を受け入れるにあたって実践している取り組みを紹介しました。「新たな視点、考え方、経験が加わり、私たちの街の可能性も広がった。経済発展にもつながっている」と強調します。

難民や移民を地域の“財産”と表現したのは、イギリスの港町ブリストルの市長。「市役所で難民や庇護申請者を雇用し、街の発展に驚くほどの貢献を果たすことを実感した。彼らが可能性を発揮できる場所を増やせれば」と意欲を示しました。

また、今回の会議には、都市で新たな可能性を切り開いた難民の若者も出席しました。

ケニアで生まれ育ったフォニ(26)は、幼いころはスーダンから逃れてきた両親と難民キャンプでの生活でしたが、首都ナイロビで暮らすチャンスを得ました。「難民キャンプにいた時は “難民”として生きていくしかなかった。でもここでは“普通の人”として、あちこちに可能性にアクセスすることができる」。ナイロビで仕事のない若者の支援団体を立ち上げるなど、チャレンジを続けています。

第三国定住でオーストラリアのシドニーに移り住んだイラン難民のアラッシュ (25) は、エンジニアの学位を取得しました。「働いて、税金を払って、学校で学ぶ。一市民として社会に加わることができ、本当の意味で貢献するチャンスを得た」と話します。将来はエンジニアとして、オーストラリアの国づくりに貢献したいという夢を抱いています。

昨年末に国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」は、世界の難民危機に対応するための指針となる国際的な枠組みです。難民問題の規模が大きくなり、複雑化する中、国境やセクターを超えて社会が一体となり、難民と受け入れコミュニティ双方への支援に取り組んでいることが求められています。

 

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