学生街としても知られる高田馬場は飲食店がひしめきあい、世界中の料理が楽しめるグルメタウンです。そんな高田馬場はミャンマー料理のレストランが多く集まることでも知られ、“リトルヤンゴン”という愛称で人々に親しまれています。高田馬場駅から程近く賑やかなさかえ通りをまっすぐ進んだ先にあるのが、『スィウミャンマー』です。
ヤンゴン出身の店主タン・スィウさんが奥様と二人で営む『スィウミャンマー』は昨年オープンしたばかり。料理を通してミャンマーの文化を日本に発信しています。
ふるさとの味:モヒンガー
ミャンマー人の食生活に欠かせないソウルフードでもあるモヒンガー(650円)。その優しい、どこか懐かしい味は日本人にも大好評です。麺類メニューの中ではダントツの人気だとか。
モヒンガーとは魚介スープのかけそばのこと。ミャンマーから仕入れたナマズで出汁をとり、米粉やヒヨコマメなどの粉をふんだんに使いとろみを出したスープと、日本のそうめんに似たお米の麺で頂くお料理です。ミャンマーの代表的な家庭料理のひとつで、レストランでも屋台でも気軽に食べられる定番の朝食メニューでもあります。特に出来立ての生麺を使ったモヒンガーは最高の味だとか。ヘルシーな米麺は女性にもうれしいですね。ヒヨコマメなどの天ぷらをスープに浸して食べるのがミャンマー流。サクサクに揚がった天ぷらにスープがしみこんで、さらにおいしくなります。
食べる時にはナンプラー(魚醤)、レモン果汁、唐辛子をお好みで足して頂きます。三つ全てを少しずつ足して頂くと、魚介のスープにさわやかな香りが引き立ち、おすすめです。味を変えながら食べられるのも楽しいですね。
食べ応えたっぷり:ダンバウ
黄金色のご飯の上に鶏肉がドンと乗ったこの大胆なお料理は、ダンバウ(900円)というミャンマー風炊き込みご飯。異国を感じさせるスパイスの香りがなんとも食欲をそそります。中にはレーズン、カシューナッツ、グリンピースが入り、彩りも豊かで、一口ごとに変化する食感と味が楽しめます。ご飯と一緒に炊き込んだ鶏肉はフォークをさすと崩れてしまうほど柔らかく、味がしっかり染みこんでいておいしい!
そしてこのダンバウに必ず付いてくるのが、バラチャウンジョー。これは乾燥した海老を唐辛子、たまねぎ、にんにくとともに炒め、ふりかけ状にしたもの。ダンバウと一緒に食べれば、ちょうどいい塩加減がプラスされ、ますます食が進みます。白いご飯にも合いそうです。
これはおなかをすかせた学生さんも大満足の一品ですね。
みんなのおやつ:サムサ
野菜を多く取り入れるミャンマー料理にはベジタリアンの方もおいしくいただけるお料理がたくさんあります。サムサ(500円)もそのひとつ。春巻きの皮でじゃがいもとたまねぎの具を三角形に包み、カラッと揚げたミャンマーの定番スナックです。ミャンマーから取り寄せた香草を使うことによって、本場の味を忠実に再現しています。
サムサの最大のポイントはこの自家製ソースです!食欲をそそる甘酸っぱさの正体はタマリンドというフルーツ。タマリンドは日本ではあまりなじみがありませんが、東南アジアでは広く料理に使用されるほか、様々な用途に利用される万能フルーツです。ジュースでもいただきます。
2012年に開業してちょうど1年。これまでを振り返って見ると、楽な道のりではなかったと語るタンさん。高田馬場は飲食店の激戦区。周りのお店が次々と閉店していく中、お客さんとアイディアを出し合いながらやってきたといいます。そんな努力が実り、口コミで徐々にお店の評判が広がっていきました。最近は日本人のお客さんも増え、学生のほかにもミャンマーで働いていたビジネスマンや外交官などが、本場の味を求めてお店に足を運ぶそうです。そんなお客さんの期待に応えるため、開店当初から変わらない本場ミャンマーの味を守ってきました。
店名の【SWE】とはビルマ語で「友達、家族、仲間」という意味。みんなが楽しく集まれる場所にしたい、という願いがこめられています。名前の通り、アットホームな雰囲気につい長居してしまいそう。ミャンマー人はお酒と一緒におつまみを食べるのが大好きだといいますが、90種類もあるメニューの中にも揚げ物や和え物など、お酒に合いそうなおつまみがたくさん!気の合う仲間と楽しく色々なメニューを試してみるのもいいですね。
大学で教えていたこともある店主のタン・スィウさんは母国のミャンマーで民主化運動に参加していましたが、25年前に迫害を逃れ日本にやってきました。日本では建設会社で働き昨年念願のレストランをオープン。お店の経営は早朝から深夜まで働きづめで、毎日とても忙しいといいます。タンさんの夢はもっとたくさんの人に料理を通してミャンマーを知ってもらうこと。ゆくゆくはミャンマー料理が東京だけでなく全国に普及してほしいと話してくれました。「ミャンマー人の心は日本人の心に近いから、きっとミャンマーを好きになってもらえる」そう語るタンさんの優しい表情を見て、何度も訪れたくなるお客さんも少なくないはずです。
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