目標4 安全上の問題へのより効果的な取り組み
目標4 安全上の問題へのより効果的な取り組み
安全上の問題へのより効果的な取り組み
難民が直面する安全上の問題には様々な形態がある。社会的、文化的な構造や規範の崩壊、家族構成員や共同体の支援体制からの離脱とその喪失、そして犯罪と暴力の加害者の不処罰は、難民、特に女性と子どもをとりわけ弱い立場に置くものである。難民女性と子どもは強姦、誘拐、人身取引、保護・証明書・支援を引き換えにした性的な行為の要求など、特殊な虐待を受けることが往々にしてある。難民の子ども、特に少女については性的搾取、暴行または虐待を受ける危険性がさらに高い。難民キャンプが武力紛争の近隣地域にある場合には、青少年を含む子どもの難民は、しばしば武装集団や国の軍隊の強制的な徴集の対象になりやすい。流入する難民の集団、難民キャンプ、難民居住地域における武装分子の混在は、上記の問題を悪化させ、さらに難民、受け入れ国そして受け入れ社会にとって深刻な安全上の問題を作り出す。難民と武装分子を明確に区別することは大きな難題ではあるが、明らかに各国と難民の利益となるものである。
難民が直面する安全上の問題には様々な形態がある。社会的、文化的な構造や規範の崩壊、家族構成員や共同体の支援体制からの離脱とその喪失、そして犯罪と暴力の加害者の不処罰は、難民、特に女性と子どもをとりわけ弱い立場に置くものである。難民女性と子どもは強姦、誘拐、人身取引、保護・証明書・支援を引き換えにした性的な行為の要求など、特殊な虐待を受けることが往々にしてある。難民の子ども、特に少女については性的搾取、暴行または虐待を受ける危険性がさらに高い。難民キャンプが武力紛争の近隣地域にある場合には、青少年を含む子どもの難民は、しばしば武装集団や国の軍隊の強制的な徴集の対象になりやすい。流入する難民の集団、難民キャンプ、難民居住地域における武装分子の混在は、上記の問題を悪化させ、さらに難民、受け入れ国そして受け入れ社会にとって深刻な安全上の問題を作り出す。難民と武装分子を明確に区別することは大きな難題ではあるが、明らかに各国と難民の利益となるものである。

難民、難民キャンプそして難民受け入れ地域の安全を確保し、さらに庇護の文民的性格を維持するために、各国としては、技術的な支援と資源の充当を必要とする。安全上の問題への対応は、先ずもって庇護国の強い誓約にかかっているが、しかし、こうした問題が審議される国連安全保障理事会、国連事務局の平和維持活動局(DPKO)および赤十字国際委員会(ICRC)のように武力紛争事態に具体的な対応力を有する機関の関与も必要とする。
安全上の問題にいっそう効果的に対処するため、以下の4つの目的とそれに付随した活動が確認された。
1.難民の安全を確保し、難民の集団から武装分子を引き離すための国家への資源提供
- UNHCR執行委員会は、庇護の文民的性格を維持する指針となるべき検討事項を定める「結論」の採択を通じて、政策の方向性を示す。
- UNHCRは、各国、国連の関連機関およびICRCのような関係機関と協力して、手続きや基準などの運用ガイドランを含む現実に即した手引きを開発するとともに、特定の難民流出事態において手引きを試験的に適用するにあたりこれらのパートナーと協力する。
- UNHCRは、難民の安全のためのプロジェクトを強化し、難民の身体的安全を確保しようとする国々を支援する組織的対応力を開発する。
- 各国は、UNHCR執行委員会の指示に依拠し、難民から戦闘員を分離するために真正な努力を行うことなどにより庇護の文民的性格を維持することを優先するために誠実に行動する。各国はまた、難民の身体の安全を確保する。
- 各国は、難民の安全を確保するための有効な運用上の枠組みを確立するために、UNHCR、国連の平和維持活動局およびその他の部門との間で、安全上の問題に関する協力のための現実的な取り決めを行う可能性について検討する。
- 各国およびUNHCRは、難民流出の事態、特に深刻な安全上の問題をはらむ緊急事態において、人間の安全保障を担当する調整官を配置するための待機メカニズムを確立するために、UNHCRに物質的な支援を与える方法を検討する。
- UNHCRは、受け入れ国政府、援助供与国、UNHCRの間にパートナーシップ構築の機会を見出し、難民の安全に関連する問題に取り組む国家の能力を強化する。
2.難民の安全の問題に対する国連事務総長と安全保障理事会の関与の維持
- 国連事務総長と安全保障理事会は、難民のいる地域における重大な安全上の問題について報告を受け、この問題に積極的に関与し続ける。UNHCRは、両者に対し情報を定期的に提供し続ける。
3.子どもを含む難民の徴集の防止
- 各国は、難民、特に子どもの強制徴集の危険性を削減し、可能な限りこれを防止するための具体的な措置をとる。この措置の中には、教育と職業訓練の機会の提供を含む。
- 「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利条約選択議定書」を未だ締結していない国は、その早期締結を検討する。
- 各国、UNHCRおよびその他の人道援助関係者は、難民の徴集の防止に向けた意識の向上と研修を行う。
- 各国、国連児童基金(UNICEF)とUNHCRを含むその他の関係者は、難民の中にいる子ども兵士の武装解除、軍事活動からの解放、そして彼らをもとの生活に戻すための特別プログラムを適宜策定する。このプログラムは、少年と少女の兵士の特定の状況に平等に益し、また対応するものでなくてはならない。
4.年齢・性・ジェンダーに基づく暴力の防止
- UNHCRは、「難民女性の保護に関するガイドライン」(ジュネーブ、1991年)、「難民女性に対する性的暴力について:防止および対応に関するガイドライン」(ジュネーブ、1995年、現在改訂中)、「難民女性に対する高等弁務官のコミットメント」(2001年12月12日)および「性的搾取からの保護に関する関係機関常設委員会(IASC)タスクフォース」が作成中の「性的搾取からの保護に関する政策」の完全な実施を確保するために、各国および人道関係パートナーと協力する。
- 各国、UNHCRおよびその他の関係者は、性的暴力とジェンダーに基づく暴力・搾取に対するジェンダーと年齢に配慮した防止・対応メカニズム(救済措置を含む)が、難民にかかわるあらゆる文脈におけるプログラムの不可欠の一部になること、ならびに、このメカニズムに男性、女性と子どもを対象にした適切な教育および意識向上プログラムが含まれることを確保するための措置をとる。このメカニズムには、被害申し立てメカニズムと職員に適切な対応義務を課す枠組みが含まれる。20
- UNHCRおよびそのパートナーは、難民女性と子どもの難民を年齢、性的暴力、ジェンダーを理由とする暴力から保護するための明確な責任体制を確立し、適用可能な行動規範があらゆる人道援助活動において尊重されることを確保する。
- 各国は、適切な法的および社会復帰のための措置を提供し、「横浜グローバル・コミットメント」21のフォロー・アップを行う。
- 各国、UNHCRおよびその他の人道援助におけるパートナーは、性的搾取、暴力および虐待のサバイバーの権利およびニーズに関する研修を実施し、対応力を強化する。