ふるさとを離れても、心身ともに健康な毎日を

スーダンの難民キャンプ内の診療所で、栄養不良の子どもの診察に立ちあう母親
© UNHCR/Petterik Wiggers

ある日突然、着の身着のまま、住み慣れた場所から逃れなければならなかったとしたら―。心身ともに疲弊してたどり着いた先で日々を生き抜いていくためには、医療へのアクセスが重要なカギのひとつです。

UNHCRが発行した公衆衛生に関するレポート(2017年)によると、ふるさとから移動を強いられた人のうち、避難先で診察を受けることができた人の数は前年と比べて21カ国で10%増加、80万人超であることが分かりました。

紛争などによる避難という緊急事態において、最も懸念されるのは5歳未満の死亡率。今回のレポートでは、5歳未満の死亡率は毎月1000人に0.4人、UNHCRやパートナー団体による公衆衛生分野での支援強化もあり、2011年以降その割合は減少傾向にあります。

バングラデシュに避難しているロヒンギャ難民の女性は、「難民キャンプ内のクリニックのようなサービスがなければ、私たちの生活はもっと苦しいものになっていたかもしれません」と話します。5歳の誕生日を迎えずして命を落としてしまう子どもは水様性の下痢が主な原因。適切な治療ができれば、命を守ることができるのです。

また、UNHCRはWar Trauma Foundationと連携し、2015年からアジア、アフリカなど多くの国で、メンタルヘルスケアに携わる医療関係者の能力強化を続けてきました。その成果もあり、2017年は3年前と比較して2倍のコンサルテーションが行われました。てんかんなどの急な発作、精神病や躁鬱などの相談が多く、不安や落ち込み、PTSDなどは、患っている人の数自体は多いと見込まれるものの、受診数はそう多くはないという結果が出ています。

また、今回調査した21の地域、135カ所で50万人の妊婦が出生前検診を受け、10人のうち9人が技術のある助産師の立ちあいのもと出産が行われ、それぞれ前年比で18パーセント、25パーセントの増加となっています。

UNHCRは世界各地の支援対象者、1日につき平均で1人21リットルの水を確保できるよう管理しているほか、トイレの数も増やす取り組みを進めています。しかし、公衆衛生に関するニーズが増え続けるなか、UNHCRは緊急時や長期間の状況では常にこの基準は満たせておらず、今後の課題となっています。

 

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