UNHCR駐日事務所と明治大学は難民を対象とする推薦入学制度に関する協定書を28日に締結した。同大学は、毎年UNHCRが推薦する難民を対象とする候補者(2名以内)を選考し、2011年4月から正規学生として受け入れる。
日本に受け入れられる難民の数は増加傾向にあるが、難民が自立し、生活を維持するためにも教育のニーズは高い。日本の専門性の高い教育への期待を持ちながらも、本人や家族の経済的事情や母国の出身校の証明書が得られないなどの理由で中・高等教育を受ける機会を失っている場合がある。このような傾向が難民の就労条件、経済的事情の悪化に繋がり悪循環を生んでいることは否めない。難民には、日本人に対する奨学金制度、並びに外国人に対する類似の制度が適用できない現状において、学業に専念し、国際社会において平和構築や社会の発展に寄与する可能性のある人材に対して高等教育の機会が提供されることを歓迎する。
ヨハン・セルスUNHCR駐日代表は「教育の機会は難民が生活を立て直し、社会へ貢献するための第一歩となり、日本で進学希望をしている難民学生への高等教育の機会を提供される明治大学に謝意を申し上げます。明治大学の自由と人権への創立理念が、日本の国際教育のあり方をリードし、このような事業が、他校へも拡大し、難民への門戸を拡げることを期待します」と感謝の意を述べた。高等教育での難民の推薦入学制度は専門性を生かした画期的な難民支援であり、2007年始動の関西学院大学、2008年始動の青山学院大学に次いで、3校目となる。
この制度では、入学試験検定料及び難民学生の入学金、学費、及び諸会費を全額免除し、4年間を上限として卒業までの期間において修学助成金を支給する。選ばれた学生は同大学の全ての学部から専攻を決めることができる。2011年4月から2016年3月まで、5年間実施される。
UNHCR駐日事務所は、この制度で入学した学生が高い教養と専門性を身につけ、日本・母国あるいは国際社会において平和構築や社会発展のためのリーダーとして活躍し、貢献することを期待している。