【プレスリリース】2012年グローバル・トレンズ・レポート
【プレスリリース】2012年グローバル・トレンズ・レポート
UNHCRのグローバル・トレンズ・レポート(年間統計報告書)によると、18年ぶりに強制移動の実態数が最大となった
19日にUNHCRが発表した年間統計報告書によると、シリア危機に代表されるように難民や国内避難民として移動を強いられた人の数が、1994年以来過去最大となった。
UNHCRのグローバル・トレンズ・レポートは、各国政府、NGOパートナー、UNHCRによって集計された2012年における強制移動の年間統計である。この報告書では、2012年末には、2011年の4250万人よりさらに増え、4520万人以上が移動を強いられていることが明らかになった。これには、難民1540万人、庇護申請者93万7千人、国内避難民2880万人を含まれている。
強制移動は紛争を起因としたものが多く、難民出身国トップ5ヶ国、アフガニスタン、ソマリア、イラク、シリア、スーダンに象徴されるように、UNHCRの支援対象者である難民の55%は紛争による影響を受けている。報告書にはマリ、コンゴ民主共和国、スーダンから南スーダン、エチオピアへの新たな流出の潮流についても記している。
「警告すべき数が表れている。一人ひとりの苦しみが、おびただしい数で重なり合い、国際社会が紛争を防ぐことも、適切に問題解決に至ることができないことを証明している」アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は述べた。
報告書には多くの不安要因が記されている。2012年には110万人が新たに難民として、650万人が国内避難民として、延べ760万人が新たに移動を強いられていた。これは、4.1秒ごとに新たに難民、あるいは国内避難民となった人がいたことになる。
また難民受け入れについては、裕福な国と貧困に直面している国との格差が続いている。UNHCRの支援対象者である難民1050万人のうち、半数の受け入れ国の一人あたりのGDPが5000米ドル以下であることに象徴される。10年前には70%であったが、発展途上国が難民の81%を受け入れている。
難民の46%は18歳未満の子どもであり、保護者不在、あるいは親と離ればなれになった2万1300人もの子どもたちが、2012年に庇護申請をしたことも過去最大である。
世界の強制移動は、その年に発生した新たな流出に、長期化している問題を加え、帰還、自国ではない国で市民権などを受け定住するなど解決が見いだされた問題を差し引いた総数である。UNHCRは移動を強いられた人に対して保護・支援を実施し、その問題解決へ向けた努力をしている。2012年には、52万6000人の難民、210万人の国内避難民を含めた270万人の問題解決を果たした。うち、7万4800人に対して第三国定住へ向けた申請が行われた。
難民受け入れ国のランキングには大きな変化はなく、依然パキスタンが160万人と最も多く受け入れ、イラン(86万8200人)、ドイツ(58万9700人)と続く。
アフガニスタンが最大の難民発生国であり、ここ32年間その地位が不動となっている。平均すると、世界の難民の4人に1人がアフガン難民であり、その95%が隣国のパキスタンとイランで受け入れている。ソマリアも長期化した紛争によってその地位を継いでいるが、流出が減少傾向にもある。イラク(74万6700人)、シリア(47万1400人)と続く。
国難避難民が2880万人いることは過去20年間で最も多く、うち1770万人にUNHCRは支援をしている。国内避難民への支援は政府による要請によって実現するものであって、コンゴ民主共和国やシリアでは顕著な増加が見受けられた。
グローバル・トレンズ・レポートは、UNHCRが発行する統計の集大成であり、追加情報などは、統計年鑑、先進諸国への庇護申請者数などに記される。この報告書に加え、マルチメディア対応の情報・データなどはこちら
グローバル・トレンズ・レポート2012(英語)はこちら
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