イエメン難民にハラル料理を 韓国人ミュージシャンの思い

済州島にオープンしたイエメンレストランで、イエメン人のシェフとウェイター、オーナーの韓国人ミュージシャン
© UNHCR/Neil P George

韓国のリゾート地、済州島に昨年オープンしたイエメンレストラン「Wardah(ワルダ)」。ケバブ、ピタパン、フムスなどのアラブ料理がふるまわれるこの店は、イエメンと韓国の文化交流の場としてにぎわっています。

昨年春、国内で激化する紛争から逃れ、イエメンから約500人が済州島に避難してきました。当時、韓国の人々は不安に駆られました。難民やイスラム教徒と交流した経験がほとんどなかったからです。

所持金もほどなくして底をつき、泊まる場所もなく、野宿せざるを得ない難民たち。それを知った現地ミュージシャンのミンキュン(38)は、自分のスタジオを寝泊まりできるよう開放することを決めました。「私は使っていないスタジオの鍵を開けただけ。すごく感謝されて、こちらが気恥ずかしくなってしまったくらいです」と、涙を浮かべて振り返ります。

イエメン難民と交流を深めるにつれ、ミンキュンが気になったのは食事の問題。島内では、イスラム教徒向けのハラル食材が手に入りにくい状況でした。そこでイエメン難民の料理人、韓国の友人たちと協力し、自分がオーナーとなりイエメン料理店を開業することにしたのです。

島で最初のイエメン料理店、不安もありましたが予想外の繁盛ぶりで、韓国人からもイエメン人からも大好評。本場のさながらの料理を食べることで、イエメンのことをより理解できるようになったという声も。ウェイターが翻訳アプリを使って懸命に韓国語で注文を取る姿は、韓国人客の心にも響いています。

レストランの常連で、難民申請中のモハメド(37)は、「街中で売られている鶏肉も本当にハラルなのか分からず、野菜ばかり食べていました。安心して故郷の味を楽しめます」とうれしそうです。

韓国は1994年以降、4万9000人近くの庇護申請を受け、パキスタンや中国、シリア、イエメンなどから約2900人を受け入れています。ミンキュンは「これまでイエメンという国も知らなかったし、難民とはどんな人々なのかも理解していませんでした。今後、政府が国民に対して、難民保護の必要性をもっと伝えてくれれば」と話します。

イエメンでは紛争の影響で230万人が国内で移動を強いられ、人道支援を切に必要としているのは2000万人、安全を求めて国外へと避難する人は7万人にもおよびます。UNHCRは現場で人道支援を行っていますが、安全に故郷に帰ることができる状況とは到底言えません。

レストラン名の「Wardah」は、アラビア語の“花”に由来します。「人種や文化、宗教を超えて、同じ人間として共存できる社会になれば」とシェフのモハメド (23)。いつか平和を取り戻したイエメンに帰りたいと願っています。

 

▶ くわしくはこちら(英語)

▶ イエメン料理店のストーリーはこちら(YouTube)