難民の自立に向けたチャンス ジャカルタでファッションを学ぶ

ジャカルタのワークショップで、難民の生徒たちにアドバイスをするフランカ
© UNHCR/Caroline Gluck

パリのセーヌ川の上を優雅に歩くモデルたち。その光景を映し出す動画に、何万キロも離れたインドネシアで暮らすアフガン難民たちがくぎ付けになっています。

首都ジャカルタで実施されている高級婦人服デザインのトレーニングのひとこまです。

インドネシア生まれの企業家フランカ発案のこのトレーニングは、昨年9月にスタート。“ベナン・プロジェクト”と名づけられ、現在、6人の難民が参加しています。フランカは、イスラム教徒の女性の新たなスタイルを世界に発信する「Modest Fashion Week」の共同創立者でもあります。

「“ベナン”はインドネシア語で“糸”という意味。社会と難民という二つの要素を縫い合わせる=団結への願いを込めました。一緒になれば、何か大きいことができると思ったんです」と、フランカは言います。デザインはもちろん、型紙作りや仕立て、ブランド構築、ファッション写真の撮影、ファッションショーの開き方まで、トレーニングの内容は多岐にわたります。

世界の難民2540万人のうち、ジャカルタのような都市で暮らしているのは約6割。受け入れコミュニティとの共生が重要課題の一つになっています。

ジャカルタではフランカのように企業家やNGOが、料理、芸術、石けん作り、手芸やオーガニック農業といった難民の生活技術の向上を助けるトレーニングを提供。自治体のサポートを通じて、約50人の難民の子どもたちがインドネシア語を習い、公立の小学校に進学への道が開けました。

世界で最も人口密度の高い国のひとつであるインドネシアでは、約1万4000人の難民が暮らし、うち半分はアフガン難民です。政府は恒久的解決に向けて寛容な受け入れ政策を実施していますが、難民は労働の権利がなく、大学に通うことも困難な状況です。

「難民が持つ技術や知識を生かし、受け入れ国に貢献できる方法は必ずある。それが経済の活性化につながれば、受け入れコミュニティと難民、双方にメリットがある。難民自身が技術を磨けば、今後の生活での自立にもつながる」と、UNHCRインドネシア代表は話します。

トレーニングの参加者の一人、アフガン難民のアマッド(21)は、2015年にジャカルタに一人で逃れてきました。「ふるさとを離れても、技術を磨く機会を得ることができた。自分で道を切り開いて、夢をかなえられることだってできる」。生き生きした表情で、そう話しています。

 

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