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【プレスリリース】UNHCR:増加を続ける強制移動に終止符を 国際社会のリーダーに行動を訴え

【プレスリリース】UNHCR:増加を続ける強制移動に終止符を 国際社会のリーダーに行動を訴え

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、紛争や迫害、暴力などにより故郷を追われている人が約10年にわたり増加傾向にあるとして、この流れを止め、好転させていくために、…
18 6月 2021
ウガンダ、コンゴ民主共和国の国境近くの街で、セキュリティ、健康チェックを受ける庇護希望者たち

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、紛争や迫害、暴力などにより故郷を追われている人が約10年にわたり増加傾向にあるとして、この流れを止め、好転させていくために、平和と安定、
協力を促進する努力を国際社会のリーダーたちに訴えます。

2021年6月18日、ジュネーブから発表された最新のUNHCRの年間統計報告書「グローバル・トレンズ・レポート」によると、2020年、紛争、迫害、暴力、人権侵害などにより故郷を追われた人の数は、新型コロナウイルスのパンデミックにも関わらず、8,240万人近くにまで増加しました。戦後最大規模、7,950万人を記録した2019年末時点の統計の4%増となります。

本レポートによると、2020年末時点で、UNHCRが支援対象とする難民の数は2,070万人、パレスチナ難民は570万人、ベネズエラから国外に逃れた人は390万人でした。また、国内で

避難を強いられた国内避難民(IDP)は4,800万人、庇護希望者は410万人を記録しています。

新型コロナウイルスのパンデミック、世界的な停戦の呼び掛けにもかかわらず、依然として紛争により人々は家を追われていることを示しています。

「この一つひとつの数の背景には、故郷を追われた一人ひとりの人間の姿があり、そのそれぞれに強制移動、避難、苦しみの物語があります。そのすべてにおいて、人道支援はもちろん、彼らが苦境から抜け出すための解決策への意識喚起、サポートが切に求められています」

「『難民の地位に関する1951年の条約(難民条約)』『難民に関するグローバル・コンパクト』において、強制移動に対する法的枠組みや法的手段がすでに示されてはいます。しかしなによりもまず、人々を強制移動に追い込ませる紛争や迫害を止めるため、より強い政治的思想が必要なのです」とフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は訴えます。

故郷を追われた人のうち、18歳未満の子どもは42%を占めます。危機が何年にもわたって続いた時に、とりわけ脆弱な立場にあるのがこの世代の少年・少女たちです。UNHCRの最新の推計によると、2018年~2020年に約100万人の子どもが難民として生まれています。そしてその多くが、この先数年にわたって、難民のまま過ごすことになる可能性が高いとみられています。

「これほど多くの子どもたちが強制移動という環境下で生まれているという悲劇は、紛争や暴力を防ぎ、根絶するために、私たちがより多くの努力をすべきだという十分な理由にほかならない」とグランディ高等弁務官は強調します。

本レポートではまた、2020年の新型コロナウイルスのパンデミックのピーク期には、160カ国以上、うち99の国が保護を求める人々も例外なしに、国境を封鎖していると報告しています。他方、多くの国が感染拡大の防止と併行して庇護へのアクセス確保に取り組み始めており、国境地域での健康チェック、到着時の診断書の提示、一時的な自主隔離、登録手続きの簡易化や遠隔インタビューなどの改善策を示しています。

国境を越えて避難する人が増加を続ける一方、国内で避難を余儀なくされる人も数千万人規模におよんでいます。国内避難民は、エチオピア、スーダン、サヘル地域、モザンビーク、イエメン、アフガニスタン、コロンビアなどで発生している危機の影響もあり、前年より230万人以上増加しています。

2020年の1年間で故郷に帰還できたのは、国内避難民約320万人、難民はわずか25万1,000人でそれぞれ前年比40%、21%減、また、庇護国に帰化した難民は3万3,800人でした。難民の第三国定住は激減しており、1年を通して第三国に定住できたのはわずか3万4,400人でした。これは過去20年で最も少なく、第三国定住の受け入れ先の減少、新型コロナウイルス感染拡大の影響などの結果とみられています。

グランディ高等弁務官は「強制移動を解決に導くためには、国際社会のリーダーはもちろん、人種や文化などあらゆる違いを乗り越え、政治への利己的アプローチを捨て、紛争の防止と解決に取り組み、一人ひとりの人権に敬意もって行動する人材が必要です」と訴えます。

UNHCR「グローバル・トレンズ・レポート 2020
強制移動に関する 主なデータ
▶「数字で見る難民情勢」はこちら

 

世界の強制移動8,240万人(2019年:7,950万人)前年比4%増

  • 難民2,640万人(2019年:2,600万人)
    • 2,070万人(UNHCR支援対象 2019年:2,040万人)
    • 570万人 (UNRWA支援対象パレスチナ難民570万人 2019年:560万人)
  • 国内避難民4,800万人(2019年:4,570万人)
  • 庇護希望者410万人(2019年:420万人)
  • ベネズエラ国外に逃れた人々 390万人(2019年:360万人)
  • 2020年、世界の強制移動の数は9年連続で増加。現在、地球上の1%が強制移動に直面。
    全体数が4,000万人以下だった2011年の約2倍。
  • 難民の出身国の3分の2以上は5カ国に集中:
    シリア(670万人)、ベネズエラ(400万人)、アフガニスタン(260万人)
    南スーダン(220万人)、ミャンマー(110万人)
  • 世界の難民の大多数、約10人に9人(86%)は、自らも危機に直面する近隣地域、低中所得国で
    受け入れられている。後発開発途上国は庇護の受け入れ全体の27%を占める。
  • トルコは7年連続、世界最大の難民受け入れ国(370万人)。コロンビア(170万人、国外に逃れたベネズエラ人を含む)、パキスタン(140万人)・ウガンダ(140万人)、ドイツ(120万人)と続く。
  • 庇護申請中で結果を待つ庇護希望者は世界全体で2019年とほぼ横ばい(410万人)。しかし、
    各国とUNHCR合わせた庇護申請の登録数約130万人は2019年から100万人減(43%減)。


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メディア向け資料:
UNHCR発行「グローバル・トレンズ・レポート」の全文、関連資料はメディア用ページでご覧になれます。
情報解禁は2021年6月18日14時(日本時間)、それ以前の使用、転載等は不可。

備考:
グローバル・トレンズ・レポート」は、UNHCR年間報告書「グローバル・レポート」と同時リリースとなります。「グローバル・レポート」は、故郷を追われたすべての人、世界的な課題でもある無国籍者のニーズに対するUNHCRのプログラムや活動に関する報告です。

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UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)について>

1950 年設立。難民、国内避難民、無国籍者などを国際的に保護・支援するため、多様なパートナーと連携し、世界約 135 カ国で活動。1954 年、1981 年にノーベル平和賞を受賞。本部はスイス・ジュネーブ。

<本件に関するお問い合わせ>
UNHCR駐日事務所 広報官・守屋
03-3499-2042 / [email protected]

プレスリリースの原文(英語)はこちら