タイ政府がミャンマーから逃れてきた難民に身分証明書を発行、包摂と自立への新たな時代へ
タイ政府がミャンマーから逃れてきた難民に身分証明書を発行、包摂と自立への新たな時代へ
2026年6月17日、タイ・ミャンマー国境沿いの難民キャンプで暮らす難民に対して、タイ政府が身分証明書の発行を開始し、UNHCRはこの歴史的な節目を歓迎しています。
今回のタイ政府による非タイ国籍者向け公的な身分証明書の発行により、ミャンマーから避難してきた人々が正式なカテゴリーとして、タイで認められることとなりました。これは、世界で最も長期化している難民危機の1つに直面するミャンマー難民にとって、包摂、保護、自立の実現に向けた画期的な一歩となります。
国連難民高等弁務官補(オペレーション担当)のラウフ・マゾウは「タイで暮らすミャンマー難民にとって、この身分証明書は単なる書類ではありません。保護と安定、そして機会への扉を開くものです。この証明書を持つことで、尊厳を取り戻し、新たな可能性を切りひらき、難民がより良い未来を築く助けとなるのです」と話しました。
この動きは、2025年8月にタイ政府が発表した画期的な政策転換を基盤としています。従来の難民キャンプを前提としたアプローチから転換し、長年にわたり難民として暮らしてきた人々に合法的な就労への道が開かれたのです。2025年10月の施行以降、5,500人以上の難民が就労の機会を得ており、タイ経済の持続可能な発展に貢献するとともに、地域社会のレジリエンス強化にもつながっています。今後、こうした機会を得る難民がさらに増えていくことが期待されます
この新たな身分証明制度には、生体認証による登録、国民登録制度との連携が含まれています。この制度ではQRコードによる認証を行い、身分の不正申告、人身取引、搾取のリスクを軽減することで、難民の保護を強化するとともに、銀行、通信、保健医療などの基本的なサービスへのアクセスも可能にします。
マゾウ高等弁務官補は「このイニシアチブは、難民が経済活動に貢献し、より安全かつ自立して暮らせるよう後押しするものです。長期化する強制移動に対応するうえで他国にとっても重要な教訓となる先進的な政策を実施したタイ政府を高く評価します」と話しており、「UNHCRはこうした取り組みを支援し、避難を強いられた人々とタイの人々の双方にとって最善の成果が得られるよう、引き続きタイ政府と緊密に連携していく用意があります」と訴えています。
現在、ミャンマーから避難を強いられた約8万人が、タイ・ミャンマー国境沿いの難民キャンプで受け入れられています。身分証明書は5歳以上に段階的に発行される予定です。第一段階では、現在すでに就労している人が対象となります。ミャンマー国内の深刻な治安、人道、人権状況を踏まえ、人々は引き続き国際保護を必要としています。多くの人は何十年にもわたり難民キャンプで暮らしており、人道支援に全面的に依存しています。また、タイで暮らすミャンマー難民の約45%はタイ国内の難民キャンプで生まれています。
UNHCRは、長期化する避難生活の中で人道支援に依存せざるを得ない難民を2035年までに半減するという、明確かつ測定可能な目標に取り組んでおり、世界で数百万人の人々の将来の見通しを改善することを目指しています。タイのこうした取り組みは、国際社会が責任の分担へのコミットメントを示す好事例であり、避難を強いられた人々を保護するだけでなく、一人ひとりが尊厳をもって人生を再建できるよう後押しするものでもあります。
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