第75号 (XLV)-1994- 国内避難民 *1

執行委員会は、

  1. 人の自国内における非自発的な避難が世界的規模の問題であること、および、この国内避難民(その数は難民の数を超えているであろう。)の苦境が、人道上の重大な関心事であることを認め、
  2. 非自発的な国内避難の多様な原因と難民移動のそれがしばしば類似していること、ならびに、難民および国内避難民の問題が、しばしば、防止、保護、人道的援助および解決に関して類似の措置を必要としていることに留意し、
  3. 国際社会が非自発的な避難を回避する方法および手段を求める必要を繰り返し延べ、
  4. 国内避難民は自国の領域的管轄の下にあることから、その福祉および保護についての第一義的責任が当該国にあることを強調し、
  5. 国内避難民が存する諸国の政府に対し、その福祉および保護についての責任を果たすよう要請し、
  6. 国際社会に対し、適切な事情の下において、国内避難によって影響を受けた諸国が避難民に対する責任を果たすことを支援するため、時宜を得た、迅速な人道的援助および支援を提供するよう求め、
  7. 国内避難民は、多くの場合において、難民、帰還民または脆弱な地元の住民とともに存し、援助および保護へのニーズに対応するに際してこれらの範疇の者を別異に取扱うことが合理的でも、現実的でもない状況にあることに留意し、
  8. 関係国と協議しかつ協力して国内避難民のためにとる国際社会の行動が、緊張の緩和および避難を引き起こした問題の解決に貢献し、ならびに、難民問題の防止および解決への包括的なアプローチの重要な要素になり得ることを認め、
  9. 関係政府に対し、保護および支援を必要とする者(国内避難民および武力紛争の犠牲者ならびにその領域内にある難民を含む。)への安全で時宜を得た人道的なアクセスを確保するよう求め、
  10. 1993年12月20日に国連総会によって採択された決議48/116(「事務総長または権限を有する国連の主要機関からの特定の要請に基づき、かつ、関係国の同意を得て、および、他の関連組織の責務および専門知識の補完性を考慮して、高等弁務官事務所の特定の専門知識を必要とする状況、特に、高等弁務官の活動が難民問題の防止または解決に貢献し得る状況において、自国内で避難した者に人道的援助および保護を提供する」高等弁務官の活動への支持を再確認したもの。)が、国内避難の状況に高等弁務官が関与するための適切な枠組みを提供し続けていることを認め、
  11. 高等弁務官に対し、国内避難民のニーズに対する国際社会のより協調した対応に向けた重要な貢献として、国内避難の状況にUNHCRが関与するための内部基準および指針を実行する努力を継続するよう奨励し、
  12. 国内避難民のための活動が、庇護の制度(迫害からの庇護を他国において求めかつ享受する権利を含む。)を損なうものであってはならないことを強調し、
  13. 国際人権法、国際人道法および多くの場合に国内法が、国内避難民および避難の危険に直面する者の安全および保護について定める規範を有していることを認め、関係当事者がこれらの規範の尊重を怠っていることに深刻な懸念を表明し、
  14. 国際避難民のための事務総長代理の作業、特に、国内避難民の取扱いに関する既存の国際基準を編纂し、かつこの点に関する指導原則を含む行動綱領を作成する活動の重要性を認め、
  15. UNHCRに対し、事務総長代理が任務を遂行するに際し、密接な協力を継続するよう求め、
  16. さらに、国際人道法を広めならびに武力紛争によって避難した者に保護および人道的援助を与える赤十字国際委員会のきわめて重要な役割を認め、
  17. 国際人権法および国際人道法の研修および普及活動を強化し、ならびに、関連組織および機関が当該国際基準の実施を共同で促進することを求め、
  18. 国際社会が、国内避難問題に取り組むに際し、関連する専門知識を有する既存の人道組織(非政府組織を含む。)と最大限の協働に努めるべきことを考慮し、
  19. UNHCRに対し、緊急救援調整官の指導の下で、かつ、その他の関係機関と協力して、既存の機関間メカニズム、特に機関間常任委員会による調整を強化しおよび組織化し、国内避難民の苦境に対する国際社会の対応を改善する努力を継続するよう奨励し、この関連において、情報を共有するためのメカニズムを強化する重要性を強調し、
  20. 国内避難の機関間的側面に関する討議が他の適切なフォーラムにおいて積極的に行われ、国内避難民問題に対する国際社会の包括的で、一貫性のあるアプローチが確保されるよう要請する。

*1国連総会文書No.12A(A/49/12/Add.1)に含まれている。