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緊急事態に安全かつ的確な対応を~日本の支援で誕生した歴史あるeセンター

ストーリー

緊急事態に安全かつ的確な対応を~日本の支援で誕生した歴史あるeセンター

20 12月 2024
eCentre workshop

開発途上国での村人と事業関係者の設定で行われた「eセンター」のワークショップの様子

「ここに大きな病院を建てられても、私たちには何のメリットもない。仕事もないし、日々の生活が苦しいだけだ!」

これは、UNHCRがNGO安全管理イニシアティブ(JaNISS)共催で11月中旬に実施した研修の一場面。舞台は、開発途上国のある村。UNHCRと日本が進める病院建設計画に反対する村人たちが、現場視察に来た事業関係者に詰め寄り、今にも暴動が起きそうになる、という設定です。

この研修は、UNHCRが運営する、通称「eセンター」のプログラムの一環。「e」は「Emergency」の頭文字で、人道援助活動における緊急対応スキルを学ぶためのプラットフォームです。

今回の研修には、海外で活動するNGO職員など海外で活動する人道支援従事者が、日本、韓国、中国、ラオス、インドネシアなどアジア太平洋地域から参加しました。4日間にわたる座学と実践を通じて、eセンターから派遣された講師から、緊急時の安全確保や現場対応のノウハウを学びました。

「実地研修を通じて、自分が周囲にどれだけ気を配れていなかったか、また、緊急事態に自分の身体がどう反応するかを学ぶことができた」「組織の危機管理対策で改善すべき点を発見できた」「グループワークを通じて他の参加者と交流し、講義で学んだ内容を復習できた」など、参加者からはeセンターの研修について前向きな意見が多く寄せられました。

eセンターは現在、タイ・バンコクに拠点を置いていますが、そのルーツは2000年、UNHCR駐日事務所に設立された時代にさかのぼります。設立以来これまで、国連が運営する「人間の安全保障基金」からの日本政府の資金協力に支えられてきました。

当時の国連難民高等弁務官、緒方貞子さんは、eセンター設立に込めた想いをこう語っています。

「私が高等弁務官に就任した時、『日本を人道大国にしたい』と申し上げました。しかし、『日本はすでに人道大国か?』と問われれば、そうとは言えません。日本には、まだ多くの形で人道的な世界貢献が可能です。そのため、日本人が人道援助に積極的に関与できる場を提供したいと考え、eセンターを設立しました」

eセンターは、アジア太平洋地域の人道支援従事者を対象に、年間を通じてワークショップや研修を開いています。国や団体をこえた参加者間のネットワークの強化にもつながり、域内で緊急事態が発生した際、より迅速かつきめ細やかな対応が可能になります。これがeセンターの目指す「ネットワークによる緊急事態対応力の向上」です。

世界で故郷を追われた人々の数は、今や世界で1億2,000万人を超え、日本の人口に匹敵する規模に達しています。そんな厳しい現実のなかで、eセンターは、緊急事態の現場で命と尊厳を守るための適切かつ安全な対応を追求するため、日本と連携しながら活動を続けていきます。

▶eセンターについてはこちら

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