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第2回日本グローバル難民フォーラムネットワーク会合、難民とともに生きる社会の実現を

ストーリー

第2回日本グローバル難民フォーラムネットワーク会合、難民とともに生きる社会の実現を

2025年5月16日
JGRF2

 2回日本グローバル難民フォーラムネットワーク会合

4月下旬、外務省とUNHCR駐日事務所の共催で「第2回日本グローバル難民フォーラムネットワーク会合」が開かれました。 
 
このネットワークは、2023年12月にスイス・ジュネーブで開催された「第2回グローバル難民フォーラム(Global Refugee Forum: GRF)」をきっかけに立ち上がりました。日本国内のさまざまなアクターから提出された40件以上の宣言(プレッジ)について、その進捗や好事例、直面している課題を共有する場として機能し、”社会全体で取り組む難民支援”を広めることを目的としています。また、日本は第2回GRFで共同議長国を務めており、国際社会においてリーダーシップを発揮することが期待されています。
 

冒頭では、外務省 国際協力局の日下部英紀審議官が登壇し、世界の難民・国内避難民を取り巻く状況は深刻さを増していると指摘。レバノンやミャンマーでの緊急事態に対し、日本が緊急支援を実施したことにも触れ、増え続ける人道ニーズには、政府のみならず、民間企業や市民社会を含む社会全体での対応が不可欠であると強調しました。さらに、国連UNHCR協会への寄付の増加や、今年開催予定の「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」とGRF中間会合にも言及し、「日本国内で活発に活動されている皆さんと意見交換できることは非常に有意義」と述べ、今後のさらなる連携と連帯への期待を示しました。
 

これを受けて、訪日中のケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官は、日本からの継続的な支援と、2023年のGRFで日本から提出された宣言への積極的な取り組みに感謝の意を示しました。世界各地で人道危機が深刻化し、支援資金の不足が課題となるなか、「難民に関するグローバル・コンパクト」の理念が引き続き重要な指針になることを強調。あわせて、日本の強みである「人道と開発と平和の連携(HDPネクサス)」における日本のリーダーシップが、これまで以上に求められていると述べました。 

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外務省国際協力局 日下部英紀審議官

続いて、日本から提出された宣言についての進捗の報告が行われました。概要は以下の通り。
 

▶宣言のリストはこちら
 

創価学会 
国連UNHCR協会と連携した「難民映画祭パートナーズ」の上映会、難民問題をテーマにした展示などにおいて昨年以降約400人を動員し、自団体の媒体を活用した広報活動や広告枠の無償提供も積極的に実施。また、NGO「国境なき音楽家」と連携し、ヨルダンにおいて音楽を通じた支援も継続しており、難民と地元の子どもたちへの音楽教育や教育者育成 、音楽療法に焦点を当てた研修を実施している。
 

ユースなんみんプラットフォーム 
現在16のユース団体と連携し、定期的に会合を開き、アドボカシーや啓発活動、勉強会を通じた学びの場の提供などの活動を実施している。難民とともに生きる社会の実現を目指して、難民の背景を持つ若者たちとも連携し、ユース世代をターゲットにしたイベントなども開催してきた。世代や地域を超えた参加と交流の広がりが挙げられる一方、国際的な連携や発信力の強化が課題。
 

ソニーグループ株式会社 
2023年9月に「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を通じてUNHCRとパートナーシップを締結。2023年から3年間で600万米ドルの難民支援を実施することを決定し、すでに400万米ドルを拠出している。バングラデシュや南部アフリカ地域での保健・水・衛生環境の改善に加え、自社の技術やリソースを生かした取り組みに関しても、社員が現地を視察し、より効果的な支援に向けた検討も進めている。
 

パスウェイズ・ジャパン 
日本国内で難民の高等教育と自立支援を推進しており、2027年までに96人の難民を日本語学校や大学と連携して受け入れる取り組みでは、これまでに43人が日本語教育を受け、20人が大学に進学。また、渡邉利三国際奨学金を通じて、4年間で77人に高等教育の機会を提供する計画で2025年は33人が進学。2030年までに難民の15%が高等教育と自立を達成するという国際的な目標への貢献も目指す。 


外務省 
HDPネクサス マルチステークホルダー・プレッジのリード国として、さまざまなレベルでフォローアップに取り組んでいる。国レベルの取り組みとしては、バングラデシュにおいて、UNHCRを含む国連機関との連携のもと、コックスバザールとバシャンチャール島で難民・受け入れコミュニティ双方への支援を展開し、地域全体の生活水準の向上を目指している。また、日本国内においては、第三国定住事業を通じ、経済的・社会的包摂を念頭に置いた難民の受け入れを進めている。今年12月のGRFの中間会合となるハイレベルに向けて、日本のステークホルダーとともに、宣言に関する取り組みを促進していきたい。 

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ケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官

続いてのセッションでは、「難民の包摂(インクルージョン)」をテーマに、難民が受け入れ先の社会で学び、働き、自立することを目指して、日本の政府、自治体、企業がそれぞれ実施している活動や課題を報告しました。
 

JICAからは、HDPネクサスを軸に、難民・国内避難民と受け入れ地域における包摂的かつ平和的な共存を方針とし支援を展開している旨の説明の後、ケニアの難民政策「シリカ・プラン」における連携、ウガンダやザンビアで進めてきた包摂的な地域開発計画の策定支援や生計向上支援などアフリカでの支援の紹介がありました。また、UNHCRなどと連携しアフリカでの難民問題の課題解決を目指すビジネスアイデアコンテストも実施中で、民間セクターの参画促進への期待を強調しました。
 

横浜市は、地域における多文化共生の取り組みとして、地域団体や市民と連携として、在住外国人に対し生活のルールの紹介などを行っていること、また地域活動でを通じて、支援を受けていた側が支援する側になって幅広い活動が展開されていることなどを紹介しました。ウクライナから避難してきた人々に対しては、住居や交流の場の提供から現在は自立支援の段階へと移行しており、状況に応じた柔軟な支援の重要性が共有されました。  
 

難民支援においてビジネス界との連携を強化するプラットフォームを展開するWelcome Japanは、就労支援やスキル開発、こころのケア、日本語教育、住居支援をはじめ、難民や移民が採用・評価される環境を整えるための指標「Cultural Diversity Index」の開発・提供およびビジネスリーダーのネットワーク「CxO Council」の発足や実施状況など、民間ならではの強みを生かした支援を紹介しました。
 

株式会社ファーストリテイリングは、UNHCRとのグローバルパートナーシップの下で、約20年にわたる包括的な難民支援の取り組みを紹介。衣料寄贈、自立支援プログラム、雇用機会の提供に加え、小中高生向けの教育啓発など、多岐にわたる活動を継続して実施してきた経験から、成果と課題を踏まえ、その都度、柔軟な見直しを行っていくことの重要性が強調されました。
 

質疑応答では、それぞれの取り組みのなかで難民の意義ある参加をどう進めていくか、世界中で情勢的にも資金的にも厳しい状況が続くなかで、どのように人道支援のあゆみを止めることなく連帯を強化できるかなどについて、活発に議論が交わされました。
 

最後に、UNHCR駐日首席副代表代行の桒原妙子があいさつをし、「日本の多様な難民支援の担い手の皆さんの活動を通じて、日本社会全体で難民支援の輪が広がっていることを実感している」と述べました。さまざまな分野でそれぞれの特性を生かした活動が広まることで、支援の質やアドボカシーの効果が向上することを強調し、難民支援の持続可能性を確保するために、UNHCRとしても引き続き日本の皆さんとの連携強化に取り組んでいきたいと締めくくりました。 

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