アンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使 シリア国境を訪問

アンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使はヨルダンのザータリ難民キャンプの難民と対話。シリア難民に対して一層の共感を呼びかけ、難民保護へ尽力するヨルダン政府の貢献を称えた。
© UNHCR/J.Tanner

2012年12月6日、ジュネーブ発

UNHCR特使のアンジェリーナ・ジョリーは12月5日夜、シリアとヨルダンの国境へ足を運び、ヨルダンへたどりついたばかりの難民と対面した。ジョリー特使がここを訪れるのは二度目だ。

「昨夜ここへ到着して私が目にしたのは、苦境を体現した人々の姿です。シリアでの紛争から必死で逃れ、自分の身を守る場所を求めてきた何千人もの難民たちです。シリアでは武器を持たない市民が標的にされています。攻撃から逃れながらも、国境ぎりぎりまで絶えず危険が付きまとうのです。私はこの紛争に関わるすべての武装勢力に対し、罪のない市民が安全に避難できるように保障することを強く求めます。」

紛争が勃発してからシリアから50万人近くが隣国に逃れ、難民登録を行った。未登録の難民の数はまだ何万人も存在すると見られるが、2、3ヶ月中に自己資源が底をつき、支援を求めてその多くが登録を行うと予想される。

ジョリー特使が今年9月にこの地域を訪れてから、難民登録を行った人は20万人増え、ヨルダン国内では5万人ほどに膨れ上がった。これを受け、難民の多くが避難しているアンマン北部のザータリ難民キャンプは今や倍の大きさに広がりつつある。

ジョリー特使がヨルダンの首都アンマンに到着したのは5日夜。そこから休む事無く一時間かけて車で北部の国境に到着した。国境で働く職員から説明を受けた際、ジョリー特使はヨルダンがシリア難民を受け入れていることを称えた。

「ヨルダンの国境警備を行う人が、苦難を背負って逃れてきたシリアの家族たちに対して示す思いやりに大変心を動かされました。ヨルダンは自国の経済的負担になることを認識した上で、シリア難民を受け入れています。国際社会はこのようなヨルダンの姿勢に対し、一致団結して支援を行うべきだ。」

このような緊急事態に関わらず、国境ではまだ一度も軍隊が出動していないという。

ジョリー特使は、真っ暗闇のなか国境を越えてヨルダンに着いたばかりの難民たちと言葉を交わした。その夜ヨルダンに到着した難民は328人。

難民の一人がジョリー特使に語りかけた。「私たちは、美しく、あたたかく人をもてなす国に受け入れてもらった。私たちはこれまで常に助け合って生きてきた。しかし全てを失った私たちには、もはやお互いを助けあうことさえ出来ないのです。」

この夜国境を越えた人の中には銃撃を受けて大怪我をしている人もいた。ジョリー特使は、片足がない少年の話を医者から聞かされ愕然とした。

「片足を失った8歳の少年が、もう一度元に戻るのではないかという希望を託し、家族に自分のもがれた片足を逃走中も運んでくれるようお願いしなければならなかったという話に心をかき乱されました。この長引く紛争は、何百万という市民を巻き込み、国家そのものを滅ぼそうとしています。私は国際社会に対し、ほんの少しでも可能性のある解決策を見つけ出し、シリアとヨルダン、その周辺国を支援する事を強く求めます。」

ジョリー特使は、国境を越えたばかりに出会った8人家族の難民と、キャンプで再会した。家族にはすでにテントと毛布や調理器具が配られていた。その家長はこう語った。

「いただいたもの全てに心から感謝しています。そして何より、身を守る場所を与えられたことに感謝します。今後は早く子どもたちが通える学校を見つけたい。」

ジョリー特使は夜凍えるほど寒いキャンプでの越冬支援の状況も確認した。テントの寒さ対策、暖房器具を設置するための補強、さらに3万枚の毛布や冬用の衣類が配られていた。

「冬はすでにここまで来ています。しかしこの冬を全ての難民が乗り切るのに必要な資金が半分しか集まっていません。これまでにすでに多大な努力がなされて来ましたが、その支援にも限界が見え始めています。心身共に傷ついた難民が、冬の間この場所に留まることは命の危険を意味します。私たちは出来る限りの支援を届けなければなりません。」

ジョリー特使と彼女のパートナーであるブラッド・ピット氏は国境を訪れた翌日、5万米ドルを難民支援のために寄付した。

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