【アフリカ特集】職員インタビュー:日本とアフリカ、本質的な共通点を感じて欲しい
【アフリカ特集】職員インタビュー:日本とアフリカ、本質的な共通点を感じて欲しい
©UNHCR
佐藤滋之 首席保護官 UNHCRスーダン事務所
スーダンのダルフールで、国内避難民の保護と帰還にかかわる国連諸機関およびNGOの活動の調整をしています。避難民キャンプに赴き、実際にそこで生活している人達に直接話を聞ける事がやりがいに通じています。またこんな仕事をしてなければ行けないであろう場所に赴き、見られないであろう光景を目撃し、立ち会えないであろう瞬間に身を置くことが出来るのは、この仕事の喜び(決して良い瞬間ばかりとは限りませんが)のひとつです。
一方でアフリカの勤務地は家族を連れていけない場所が多いので、家族に必要とされている時に帰れないことは辛いと感じます。またストレス、病気にかかるリスクの高さ、治安上の問題により外で運動ができないなど、体調を崩しやすい環境にありながら、医療設備の不十分な勤務地が多いため、健康の維持には神経を使います。
活動に対する自分の原動力が何であるのかはっきりとはわかりませんが、それは「共感」であったり、「責任感」や「使命感」、「プライド」など、その時によって異なり、いくつかの要素が組み合わさったものだと感じています。
アフリカ勤務はこれで4ヶ国目(ケニア・リベリア・タンザニア・スーダン)なのですが、まだまだアフリカは広く多様性に満ちています。アフリカに勤務する前は、アフリカの国に対してどれも似通ったようなイメージを持っていたのですが、その見方は大きく変わりました。スーダンに関しては、アラブ諸国の一部としての顔と、サハラ砂漠を取り囲むネットワークの一部としての顔が同時に存在するという意味で興味深いです。
最近感じるのは、世界が急速に他者に対する寛容さを失いつつあるということです。想像力の欠如が他者を理解し他者を受け入れる上での大きな障壁になっています。世界に対する想像力を助けるためには、自分の住む世界の外側への関心を高めると同時に、想像を支える情報の絶対量が必要です。そのために、現地の情報の発信に関してできる限り努めていきたいと思っています。目に見えるものに騙されることなく、本質的な共通点を感じてもらえたらと思います。
【TICAD Vにむけて日本に期待すること】
平和と安定の定着が今回のTICADのテーマの一つと理解していますが、むしろ紛争状態が恒常的に定着してしまっている地域がアフリカにはいくつもあり、ダルフールはその一つです。こうした地域に対して何ができるのか、議論が深められることを願っています。