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【シンポジウムレポート】「無国籍者の今、求められる日本の対応」

【シンポジウムレポート】「無国籍者の今、求められる日本の対応」

1 1月 2012

無国籍ネットワーク主催・UNHCR駐日事務所共催 
シンポジウム「無国籍者の今、求められる日本の対応 ―無国籍削減条約50周年を迎えて―」
2011年12月11日開催

「無国籍の削減に関する条約」は、その採択より2011年で50周年という節目の年を迎えた。本シンポジウムと同時期の12月7日、8日、ジュネーブにおいてUNHCR主催で行われた難民条約60周年および無国籍削減条約50周年を記念する閣僚会議では、新たに無国籍条約締結を表明する国や、無国籍問題に対してより真摯な対応を行っていく旨を表明する国が相次ぎ、世界的な関心の高まりが見られた。

ここ日本では、無国籍ネットワークとUNHCR駐日事務所が、2011年に無国籍者等への法律相談や広報・アドボカシー活動における事業実施のパートナーシップを締結。パートナーシップ締結後初めてのシンポジウムとなった。弁護士、NGO、メディア関係者、学生、一般市民など、参加者は約70人にのぼった。

今回のシンポジウムでは、無国籍にまつわる諸問題解決の前提として必要となる無国籍者を認定する手続きを設置することの重要性と、解決策の一つとして挙げられる国籍の取得という2点に焦点を合わせて議論が行われた。

まず、無国籍ネットワーク代表の陳天璽准教授からは無国籍ネットワーク設立経緯やUNHCRとのパートナーシップの重要性について、UNHCR駐日代表のヨハン・セルスからは無国籍問題についてのUNHCRによる最近の取り組みや日本での近年での進展等が紹介された。続いて基調講演として神奈川大学法科大学院の阿部浩己教授による、無国籍の定義や要因、日本における現状や課題などを中心とした基調講演が行われた。

その後行われたパネルディスカッションの中で、UNHCR首席法務官ダニエル・アルカルは、日本の国籍法が無国籍の防止や減少を目的とした規定を既に含んでいることを指摘。その上で、これらの規定を適用するためには、まずその対象者を把握する必要があり、したがって無国籍認定手続きを設置することが重要である旨を強調した。無国籍ネットワーク理事でもある小豆澤史絵弁護士は、日本において各政府機関等で共通した無国籍者についての定義がないことを指摘。また無国籍者がどこの国の国籍も持たないことを証明するのは難しく、帰化等においても特別の配慮が必要であると説いた。また、パネリストの中には同じく無国籍ネットワーク理事で、本シンポジウム直前に国籍の付与が認められた李文彪さんもおり、15年以上続いた無国籍状態を振り返り、その喜びと支援者への感謝を表明した。

参加者からも「無国籍というほとんど知られていない問題についての認識を広める大変良い機会だ」などの多くの意見や感想が寄せられた。

会場:明治大学駿河台キャンパス リバティータワー1106教室
主催:(特活)無国籍ネットワーク
共催:UNHCR

プログラム
第1部    14:00 - 15:30
    テーマ:日本の無国籍者と無国籍認定手続きについて
    開会挨拶:    陳天璽 無国籍ネットワーク代表/国立民族学博物館准教授
    共催者挨拶:    ヨハン・セルス UNHCR駐日代表
    基調講演:    阿部浩己 神奈川大学法科大学院教授/無国籍ネットワーク理事

第2部    パネルディスカッション    15:40 - 16:45
    テーマ:日本国籍へのアクセスと無国籍認定手続きの意義について
    パネリスト :ダニエル・アルカル UNHCR駐日事務所首席法務官
                    陳天璽 無国籍ネットワーク代表/国立民族学博物館准教授
                    小豆澤史絵 無国籍ネットワーク副代表/弁護士
                    チン・カイ 在日チン民族協会 (CNC-Japan) 所属
                    李文彪 無国籍当事者/無国籍ネットワーク理事

    モデレーター:阿部浩己 神奈川大学法科大学院教授/無国籍ネットワーク理事

質疑応答    16:45 - 17:15

閉会    17:30