TICAD7、社会全体で取り組むアフリカの難民支援

TICAD7 ハイレベル・サイドイベントで発言するフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官
© UNHCR/Aiko M

8月28日~30日、横浜で「第7回アフリカ開発会議(TICAD7: Tokyo International Conference on African Development)」が開催されました。

TICADは1993年から日本政府の主導により、アフリカ諸国に加え、開発・人道機関、民間企業、市民社会などが一堂に会し、アフリカの開発における互いの取り組みを共有し、さらに効果的に進めるための議論を進める場として開催されてきました。

会期中の8月28日、UNHCRはアフリカ連合委員会(AUC)、国際協力機構(JICA)、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UNOSAA)と共催でハイレベル・サイドイベントを開催。「移動を強いられている人々―連帯とパートナーシップの発展へ向けて―」をテーマに、世界の強制移動の3分の1を占めるアフリカの難民問題に対し、国際社会がどのように責任と役割を分担していくか、それぞれの分野、立場から意見交換を行いました。

フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は冒頭の講演で、「2018年、世界で移動を強いられている人の数は過去最高を記録した。アフリカは膨大な数の難民を受け入れている地域だが、多くの国々は開発途上にあり対応能力、資源が限られている。昨年12月に国連総会で採択された『難民に関するグローバル・コンパクト』でも掲げられているように、国際社会全体が難民問題への関心を高め、解決に向けて団結しなければならない時にきている」と訴えました。

パネルディスカッションでは、主催者であるAUC、JICA、UNOSSA、UNHCRをはじめ、ウガンダ政府、ケニアの企業、難民の代表者などが登壇し、難民支援の好事例や課題、今後のパートナーシップの可能性などについて議論しました。

ウガンダの南スーダン難民を代表して登壇したスーザン・グレース・ドゥクーさんは、7歳でウガンダに逃れ、いったん故郷に戻ったものの、2016年に再び避難を余儀なくされた壮絶な人生を紹介。難民として自立した生活を送るためにはどうしたらよいか、試行錯誤しながら自身で道を切り開いてきたと話し、難民にとって教育や自立支援がいかに重要なものであるかを強調しました。

ウガンダ政府を代表して登壇したムサ・エチュウェル首相府災害対策・難民担当副大臣は、難民は受け入れ社会にとって負担ではなく、さまざまな貢献を果たしている存在であるとし、ウガンダ政府の寛容な難民受け入れ方針を説明しました。また、エクイティバンク・ケニア のアラン・マイナ・ワイトゥトゥ特別プロジェクトディレクターは、ケニアでの難民家庭が銀行口座を開設する取り組みを紹介。現金給付支援へのツールとしての活用にとどまらない、難民による経済活動の可能性を強調しました。

グランディ高等弁務官が課題として挙げたのは、“平和な世界をつくる”ことは容易ではないということ。難民を取り巻く情勢の変化は著しく、私たち自身も常に新しいアプローチを模索し、取り入れていかなければならないとし、難民支援において“人道的なスピリット”が何よりも重要であると訴えました。

この発言を受けて、日本の難民に日本語を教えるボランティアをしている高校生から「日本で “人道的なスピリット”を広めるにはどうしたらいいか」という問いが投げかけられ、グランディ高等弁務官は「あなたが取り組んでいる難民へのボランティア活動はとても意義のあること。自分の経験、学んだことをどんどん周りに伝えていってほしい」とエールを送りました。

最後に、ミナタ・サマンテ アフリカ連合委員会(AUC)政治局長が、今回のサイドイベントでさまざまな機関が集まって議論できたことは、難民問題の解決に向けた大きな一歩になったと締めくくりました。

8月27日~30日、パシフィコ横浜 展示ホールには、UNHCR駐日事務所・国連UNHCR協会のブースを出展。アフリカの難民問題の現状やUNHCRの取り組み、難民支援の最前線で働く日本人職員の声などを紹介しました。ブースには4日間、さまざまな世代の人が訪れ、UNHCR職員、ファンドレイザーの説明に熱心に耳を傾けていました。

今後もUNHCRは、アフリカをはじめ世界各地の難民の声を届けるため、さまざまな分野のパートナーと連携しながら活動を続けていきます。

 

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