刺繍でつむぐ未来 ロヒンギャの女性たちの自立のために

バングラデシュに逃れてきたガルバハール(40)は2児の母。難民キャンプ内の研修で刺繍を学んでいる
© UNHCR/Caroline Gluck

バングラデシュ南東部、クトゥパロン難民キャンプにあるわらぶき屋根の施設。10数人の女性が黙々と作業しています。

彼女たちが取り組んでいるのは「刺繍」。ミャンマーからバングラデシュに逃れてきたロヒンギャ難民の女性たちが、トレーナーの指導を受けながら、色とりどりの糸を使って刺繍を施していきます。

その器用な手先から生み出されるのは、さまざまなステッチを使った花柄模様の刺繍。実は、ここに避難してくるまで裁縫の経験がない人がほとんど。夫を亡くし、女手一つで家族を養わなければならない人も多く、生活は決して簡単ではありません。

彼女たちの才能が開くきっかけとなったのが、世界最大規模のNGO、バングラデシュのBRACの人道支援部門とUNHCRの連携によって実現した研修。国内でも最貧困地域の一つで暮らすミャンマーの女性、ロヒンギャ難民を対象とした自立支援です。

ロヒンギャ難民のガルバハール(40)も参加者の一人。夫を亡くし、一人で2人の子どもを育てています。「シェルターのそばで野菜を栽培していましたが、生活はとても苦しかった」。研修で裁縫技術を学んだことで、自分や家族の将来に希望を持てるようになったといいます。

6カ月の研修期間中は小額の助成金が支給され、参加者が手がけた作品はBRACが運営するブランド「アーロン」で販売されます。女性たちにとっては貴重な収入源、お店を訪れる人々の間でも質の高い刺繍の雑貨が手に入るようになったと好評です。

2人の娘を育てるレヌマル(29)にとって、この研修は“命綱”だといいます。「以前は自宅で裁縫をしていましたが、注文は少なく、子どもたちの学校の費用を賄うのも大変でした。この研修に参加して、技術が磨けることはもちろん、安定した収入が得られます。6カ月の研修が終わったら、家族のために定職に就きたいです」。

難民キャンプ内外合わせて18の工房が開設され、研修が行われています。目標は、今年中に500人の女性に研修の機会を提供すること。より多くの難民、現地の女性たちの自立につながることが期待されます。

 

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