出生証明書が未来への一歩 ケニアの無国籍の子どもたち

自宅のソファに座って、出生証明書を子どもたちに見せるエマ
© UNHCR/Georgina Goodwin

6人の子どもの出生証明書を手に涙ぐむエマ。これまで無国籍だったショナ族の子ども600人の出生登録が、初めてケニアで行われました。

「これで、子どもたちは自分の人生を歩むことができるようになります」

1960年代、キリスト教布教のため、ジンバブエからケニアに渡ってきたショナ族の人たち。ローデシア(現在のザンビア、ジンバブエ)のパスポートを持っていた彼らは、イギリス国民として登録されていました。その後、ケニアが1963年に独立し、ケニア国籍への登録期間として設けられたのは2年。それを逃した多くの人が、無国籍となりました。

エマはショナ族の第3世代。1986年にケニアで生まれ、幼いころに両親を亡くし祖母に育てられました。出生証明書を持たないエマにとって、公的な教育を受けることは容易ではありませんでした。入学に寛容な私立学校でもの学費を払えず、学校を辞め、10代で結婚しました。

「幼稚園レベルのことしか学べなかった。せめて読み書きができたら・・・。先生になりたいという夢もあったのに」

無国籍の人たちは、教育や健康保険、雇用なの基本的な権利を得ることができず、旅行など移動の自由もありません。 UNHCRで難民保護を担当するムナイタは「無国籍の解決が保護につながる」と話します。「例えば、証明書には年齢が記載されるため、18歳未満の子どもが結婚や労働をさせられずにすみます。出生登録の有無は、子どもたちの人生に大きな影響を与えるのです」。

UNHCRはケニア政府、市民社会と連携して無国籍問題の解決に向けて活動を続けており、2016年には、ケニアの43番目の民族としてマコンデ族が認められるといった進展もありました。今回のケニア政府による出生登録の動きも、無国籍根絶に向けて重要なステップとなります。

エマは「私が生まれたのはケニア。ジンバブエに行ったこともないし、ケニアが故郷なのです。ここで国籍を得ることができたら、どの国にも属していない状態から開放されて、将来への道が開けるのです」と話します。

無国籍問題の解決なくして国の発展はないー。現在、ケニアの無国籍者の数は1万8,500人。さまざまなバックグラウンドの人たちに対する対応が進められています。

UNHCRは2014年から、2024年までに無国籍を根絶することを目指して「#IBelongキャンペーン」を実施しています。2019年11月は、まさにその折り返し地点です。

 

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