Close sites icon close
Search form

国別サイトで検索

国情報

国別ウェブサイト

クレメンツ副高等弁務官がUNHCR議連と意見交換~日本の民間セクターとTICAD9に向けた期待を議論

ストーリー

クレメンツ副高等弁務官がUNHCR議連と意見交換~日本の民間セクターとTICAD9に向けた期待を議論

2025年5月20日
PL

ケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官の訪日にあわせて行われたUNHCR国会議員連盟の特別会合

4月下旬、ケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官の訪日にあわせて、UNHCR国会議員連盟(UNHCR議員連盟)の特別会合が開催されました。

開会にあたりUNHCR議連会長の逢沢一郎衆議院議員は、「クレメンツ副高等弁務官とお話しするたびに、世界で故郷を追われている人が増え続けているという厳しい現実を直視せねばならないと実感する。自由と民主主義のもとで、一人ひとりの尊厳と人権が守られる社会を築いていく責任が私たちにはある」とし、人道支援に対する資金不足も深刻化しており、UNHCRがどう立ち向かうのかについても今日の会合を通じて認識を深めたいと述べました。

これに対して、クレメンツ副高等弁務官は、UNHCR議員連盟による継続的な支援への謝意が伝えるとともに、世界的に人道支援のニーズが高まる一方で、米国の資金削減がUNHCRの活動に深刻な影響を及ぼしていることに強い危機感を示しました。

そのなかでも「日本は人道支援における世界的リーダーであり続けており、その貢献は国際社会にとって極めて重要だ」とし、中東やウクライナなど広範な危機に対する日本の支援について高く評価しました。また、日本の民間からの寛大な支援として、過去3年間でUNHCRに対し約3億1,500万ドルの寄付があったことを紹介し、これこそが“社会全体で取り組む難民支援”の象徴と評価しました。

さらに、2025年8月に開催される「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」に向け、日本が「人道と開発と平和の連携(HDPネクサス)」を推進するリーダーとしての役割を果たすことに対する期待を表明し、経済的包摂や自立支援の推進が、持続可能な支援につながると強調しました。

PL

クレメンツ副高等弁務官

続いて、日本企業による具体的な支援事例として、2011年からUNHCRとグローバルパートナーシップを結ぶファーストリテイリングからの発表がありました。

ユニクロやジーユーを展開するファーストリテイリングは「服のチカラを、社会のチカラに。」を掲げ、衣料ビジネスを通じて社会課題の解決に取り組んでおり、その一環として難民支援を長年実施しています。

2023年12月の「グローバル難民フォーラム」では、今後4年間で600万ドルを難民支援に投資する方針を発表し、資金援助、衣料寄贈、自立支援、雇用・人材育成、啓発活動の5本柱に基づく取り組みを展開。たとえば、バングラデシュの難民キャンプでは女性たちによる生理用品の生産プロジェクトを展開し職業訓練と収入の機会を提供していること、また世界各地でも難民の雇用や学校を通じた啓発活動を進めていることなどを報告するとともに、現場での課題を的確に把握し、事業の持続性確保に取り組む姿勢を強調しました。

PL

UNHCR議連会長の逢沢一郎衆議院議員

これらの発表に続いて、参加した議員との質疑応答では、「米国の資金削減に対して他国はどう対応しているのか」「難民に対する否定的な印象をどう払拭できるか」「日本で個人寄付や企業支援、政治的関与をどう促進すべきか」など、多岐にわたる質問が寄せられました。これらに対してクレメンツ副高等弁務官は、各国の対応やEUの積極的な保護制度の事例などを紹介しつつ、包摂的な制度設計と社会全体の理解促進の重要性を強調しました。

最後に逢沢議員は、「UNHCR議連として、第三国定住事業における質と量の向上をはじめ、難民が地域社会に溶け込み、雇用や教育の機会を享受できているかを確認し、日本の支援の質を高めていきたい」と述べ、「戦後80年を迎える今年、国際社会と連携した持続的な支援枠組みを模索すべき」と力を込め、自身が主役となり、難民に関するグローバル・コンパクトの理念を日本社会でさらに広めていきたいと会を締めくくりました。

▶ UNHCR国会議員連盟についてはこちら