TICAD9に向けて~アフリカeセンターを通じて地域主導の緊急対応を促進
TICAD9に向けて~アフリカeセンターを通じて地域主導の緊急対応を促進
アフリカeセンターの英語圏プログラムの参加者たち
日本政府の支援のもと2024年に設立されたアフリカeセンターは、2025年3月から5カ月にわたる英語圏プログラムの締めくくりとして、エチオピアの首都アディスアベバで7月中旬に閉会式を開催しました。
この式には、緊急対応の最前線で活動する現地政府、自治体やNGOを代表して、アフリカ13カ国から31人の参加者が集いました。また、アフリカ連合(AU)保健・人道問題・社会開発担当委員のアマ・トゥーン=アモア大使と、AU日本政府代表部を代表して中川勉大使も出席しました。
両大使の参加は、AUと日本政府との強固なパートナーシップを象徴するとともに、今年8月に横浜で開催される「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」の理念を踏まえ、アフリカ全域での地域主導の人道支援にアフリカeセンターがさらに貢献していくことへの期待を示すものです。
アモア大使は、「アフリカ連合委員会(AUC)は、域内の第一線で活動する“ファースト・レスポンダー”の能力強化を行うという、地域主導型の人道支援を強く支持しています。紛争地など支援が届きにくい場所へのアクセスは依然として大きな課題です。eセンターをはじめとする国際的な人道支援コミュニティと連携し、AUCとして、この地域主導のアプローチを理念から実践へと進めていきます」と述べました。
アフリカeセンターは、日本が共同議長国を務めた2023年の「グローバル難民フォーラム」において、日本の外務大臣が複数年のコミットメントとして発表したことを契機に始動しました。これまでアフリカ全土の900人以上の“ファースト・レスポンダー”に対して、包摂的かつ参加型の学習プログラムが提供されています。
中川大使は、「皆さんのように最前線で対応している方々こそ、ニーズや人々、現場の状況を最もよく理解しています。ですから日本は、この地域主導のアプローチを非常に重要だと考えており、UNHCRの保護と支援において重視されていることにも賛同しています」とコメントしました。
アフリカeセンターは、2000年にアジア太平洋地域で最初に開始されたeセンターの成功を踏まえて設立されました。現在は、UNHCR本部の緊急対応・保安・供給局(DESS)とアフリカ各地の地域局が緊密に連携しながら運営されています。DESS局長の伊藤礼樹は、「アフリカ全土にeセンターの修了生による実務者ネットワークが広がっており、そのネットワークを通じて、それぞれが培った経験や専門知識が共有されています」とその成果を評価しています。
今年のプログラムの参加者の1人、スーダンでメンタルヘルスの青少年団体を率いるタイシール・ムーサ医師は、「eセンターはとても役立っています。医師には“ファーストレスポンダー”として交渉力や感情知能などのスキルが必要であるため、私がeセンターで学んだことをワークショップで共有しています。現在では、緊急時に50人の医師がしっかり対応できる体制が整っています」と意気込みます。
アフリカeセンターは、日本政府が推進する「人道と開発と平和の連携(HDPネクサス)」のアプローチに基づき、地域主導の持続可能な解決策を通じてアフリカの平和と安定を促進するというTICADの理念に深く結びついています。
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