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グランディ高等弁務官、UNHCR議連会合で世界の難民の窮状を共有

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グランディ高等弁務官、UNHCR議連会合で世界の難民の窮状を共有

2025年11月20日
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訪日中のフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が参加したUNHCR国会議員連盟の特別会合

10月中旬、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官の訪日に合わせて、UNHCR国会議員連盟(UNHCR議連)の特別会合が開催されました。

冒頭、UNHCR議連会長の逢沢一郎衆議院議員は、グランディ高等弁務官に対して、日本政府や国会議員との継続的かつ真摯な対話に感謝の意を表しました。さらに、世界の難民や無国籍者を取り巻く状況が依然として厳しいことにふれたうえで、本会合を通じて「人道と開発と平和の連携(HDPネクサス)」や難民の自立支援に関する状況を共有し、より包括的な和平構築に向けた議論につなげたいと話しました。

続いて、グランディ高等弁務官は、今年12月に10年の任期が終了することから最後の訪日となるとして、日本によるUNHCRの活動や難民支援への長年にわたる寛大な支援に深い感謝を示しました。

世界では依然として紛争や迫害により多くの人々が故郷を追われ、厳しい状況に置かれていること、中東、アフリカ、中南米、そして日本に近いアジアでも、アフガニスタンやミャンマーなどで人道危機が続いており、紛争の解決なしには状況改善が難しいことなどを強調し、アメリカをはじめ各国の人道支援資金の減少がUNHCRの活動にも多大な影響を及ぼしており、全体の約3分の1の事業縮小を余儀なくされている現状にも言及しました。

この厳しい状況の打開策として、難民の中長期的な生活を支えるHDPネクサスの観点から、今後さらに教育・雇用などを通じた自立支援を強化していくことが重要になってくると強調しました。世界銀行やJICAとの連携、シリアでの帰還支援などの例を挙げつつ、日本が引き続きこのアプローチを通じて、国際社会におけるリーダーシップを発揮することへの期待を述べました。

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その後、参加した議員からは、難民・移民に関する誤情報や偽情報への対応、国際機関への資金管理の課題、外国にルーツを持つ児童・生徒への学校での支援などについての質問が投げ掛けられ、活発な意見交換が行われました。

UNHCR議連事務局長の猪口邦子参議院議員は、難民問題な恒久的な解決策の重要性を強調するとともに、21世紀が“難民の世紀”とならないよう、各国それぞれが安定した統治と人権保障を実現する責任があると話しました。続いて、JICAの安藤直樹副理事は、JICAは15カ国以上でHDPネクサスを推進していることにふれ、ケニアやウガンダでの事例や、日本の民間企業との連携を紹介し、人間の安全保障という観点からも、引き続き取り組みを強化していく姿勢を示しました。

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逢沢議員は、なによりも、世界で故郷を追われる人々の数が簡単には減らない現状を冷静に受け止める必要があり、財政的な制約があるなかでも、平和構築は日本の国益にも資することを丁寧に説明していく覚悟を持たなければならないと強調し、グランディ高等弁務官の10年間にわたる功績に感謝と敬意を表し、会合を締めくくりました。