日本政府による無償資金協力:「帰還民及び国内避難民受入れ地域における生計向上計画(UNHCR連携)」
日本政府による無償資金協力:「帰還民及び国内避難民受入れ地域における生計向上計画(UNHCR連携)」

2月24日、アフガニスタンの首都カブールで本協力の書簡の署名・交換を行った黒宮大使とUNHCRアフガニスタン代表ジャマル
日本政府は、アフガニスタンにおける帰還民および国内避難民の生計向上を支援するため、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動に対し、9億2,900万円(約600万米ドル)の無償資金協力を決定しました。
アフガニスタンでは、長年にわたる情勢不安、自然災害の影響により、多くの人が故郷からの避難を余儀なくされてきました。隣国から帰還してくる人も増えていますが、帰還民や国内で避難を続ける人々は、依然として人道支援を必要としています。
この協力は国際協力機構(JICA)と連携して実施され、UNHCRが指定する帰還・再統合の優先地域(PARR)のうち、特に帰還民や国内避難民の多い地域において、女性を優先的に脆弱な立場にある人々のエンパワメントを目的とした活動が展開されます。
具体的には、女性のための酪農加工・生産センターの建設と運営、生鮮野菜栽培を支援する冷蔵施設や温室の建設、カーペット織物加工センター、シルク織物加工・生産施設、ビジネス・マーケット・センターの設置などが含まれます。また、これらの施設が完全に稼働し、効果的に活用されるよう、地域の協同組合の設立と支援、さらに働き手に対する訓練と能力強化も行われます。
これらの活動を通じて目指すのは、持続可能な収入の機会を提供し、自立を支援することで、経済的な困難やその他の要因による脆弱性を軽減することです。特に、女性がコミュニティに貢献し、自らの未来を選択できるよう支援することが重要視されています。
UNHCRアフガニスタン代表のアラファト・ジャマルは、「帰還民や難民、そして受け入れコミュニティのレジリエンスを強化する、特に女性に焦点をあてたこの重要な取り組みにおいて、JICAと協力できることをうれしく思います。経済的包摂を進め、新たな機会を創出することは、人道支援への依存を減らし、コミュニティ全体の尊厳と繁栄を高めるうえで極めて重要です」と述べました。
黒宮貴義・在アフガニスタン日本国大使は、「日本政府は今後もアフガニスタンへの支援を継続していきます。特に、農業やコミュニティベースのインフラを包摂的かつ持続可能なものとし、女性にさらなる機会を提供することが重要であると考えており、脆弱性の軽減や社会的結束の強化につながり、コミュニティの発展に貢献することを願っています」と応じました。
今回の協力は、アフガニスタン全土、バルク州、ヘラート州、カブール州、カンダハール州、ロガール州、パクティヤ州などで実施されます。これらの地域は多くの帰還民および国内避難民を受け入れており、受け入れコミュニティの負担軽減、社会的結束の強化、そして持続可能な社会再統合に向けた環境整備を目的としています。
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