第20号 (XXXI) -1980- 海上にある庇護希望者の保護 *1

執行委員会は、

  1. 世界の様々な地域において難民および庇護希望者に対する犯罪的な攻撃(難民キャンプおよび海上にある庇護希望者に対する軍事攻撃を含む。)が継続的に生じていることに重大な憂慮を持って留意し、
  2. 南シナ海の海上にある庇護希望者に対する極度の暴力ならびに身体的および精神的損傷をもたらす言語に絶する行為(レイプ、誘拐よび殺人を含む。)を伴う犯罪的攻撃に関して特別な懸念を表明し、
  3. すべての利害関係を有する政府に対し、公海上であると領海内であるとを問わず、当該犯罪的攻撃の発生を防止するため適切な行動をとるよう緊急の要請をし、
  4. 当該犯罪的攻撃の再発を防止するため、各国政府により次の措置がとられることが望ましいことを強調した。
    1. 庇護希望者を乗せた船舶に対する攻撃を防止するため域内における政府の行動(当該攻撃が発生している地帯での海上および上空からの監視活動を含む。)を強化すること、
    2. 当該犯罪的攻撃について責任を有する者に厳しい刑罰を科すことを確保するために必要なあらゆる措置をとること、
    3. 庇護希望者に対する当該攻撃の拠点になっている陸上の基地を発見し、および、当該攻撃に参加したことが知られている者を特定し起訴することを確保するための活動を強化すること、
    4. 海上にある庇護希望者に対する攻撃に関する情報を日常的に交換するための、および責任者を逮捕するための手続を設置すること、ならびに、当該問題についての一般的情報を定期的に交換するため政府間で協力すること、
  5. また各国政府に対し、1958年の公海に関するジュネーブ条約に表明されている海賊行為の鎮圧に関する一般国際法上の規則を完全に実現するよう要請し、
  6. 各国政府に対し、当該犯罪的攻撃の被害者にあらゆる必要な援助が与えられることを確保するため各国政府相互におよびUNHCRと協力するよう求め、
  7. 国連難民高等弁務官に対して、赤十字国際委員会およびその他の利害関係機関と協力し、暴力(特に海上での暴力)の被害者である難民を保護することを目指す努力を強化するため、国際社会の協力を積極的に求めるよう要請した。

*1国連総会文書No.12A(A/35/12/Add.1)に含まれている。