第48号(XXXVIII) -1987- 難民キャンプおよび居留地に対する 軍事または武力攻撃言 *1

執行委員会は、

世界各地において難民および庇護希望者に対する不法な攻撃(難民キャンプおよび居留地に対する軍事または武力攻撃を含む。)が依然として発生していることを深刻に懸念し、難民および庇護希望者に言語に絶する苦難をもたらすこれらの攻撃の悲劇的で無差別な帰結に鑑みて、今会期に、執行委員会の人道的な関心および非難をもっとも強い文言で表明することが必要でありかつ時宜にかなっていると信じ、

難民および庇護希望者の権利および安全に対するあらゆる侵害行為(特に、難民キャンプおよび居留地に対する軍事または武力攻撃による侵害)を非難し、コンセンサスで採択された国連総会決議(特に総会決議39/140(1984))に高い評価をもって留意し、

この結論を、特に、難民キャンプおよび居留地がもっぱら非軍事的で人道的な性格を有しているという仮定、ならびに、庇護または避難を与えることは平和的で人道的な行為であって他国によって非友好的な行為とみなされてはならないという原則に基づかせ、難民および庇護希望者の安全の確保を促し、国際法上の関連規則および原則に基づく難民および庇護希望者ならびに国家および国際機構の権利、義務および責任を強化することを望み、国連憲章、国際法上の関連規則および原則(国際人道法を含む。)に基づく国家の権利および責任が変更されていないことを強調し、

  1. 難民および庇護希望者の権利および安全に対するあらゆる侵害行為、特に難民キャンプおよび居留地に対する軍事または武力攻撃を非難し、
  2. 各国に対し、国際法の諸原則に違背し、それゆえに正当化できないこれらの侵害行為を差し控えるよう強く要求し、
  3. 国家および権限を有する国際機構に対し、難民キャンプおよび居留地に対する軍事または武力攻撃が起きた場合に、国際連帯の原則に従い、避難国の負担を軽減するため、自己の資源に応じて、その被害者の窮状を緩和するために必要なあらゆる援助を提供するよう要請し、
  4. 各国およびその他の当事者に対し、難民キャンプおよび居留地の保護を強めるための措置を促すにあたって、次の事項を考慮に入れるよう要求する。
    1. キャンプおよび居留地の難民は、基本的権利を享有するとともに、避難国によって与えられた避難および保護から生じる義務を負う。当該難民は、特に、避難国の法令(公の秩序を維持するためにとられた合法的な措置を含む。)に従い、キャンプおよび居留地のもっぱら非軍事的で人道的な性格を損なうおそれのある活動を差し控える義務を負う。
    2. キャンプおよび居留地の非軍事的で人道的な性格の維持を確保するには、避難国が、その能力の範囲内でなしうるすべてを行うことが不可欠である。他のすべての国家が、この点に関連して、避難国を援助するよう要請される。このために、国連の関連機関もまた、それぞれの権限の範囲内で、援助を提供する必要があるときは常にあらゆる国家と協力するよう要請される。
    3. UNHCRおよびその他の国連の関連機関は、それぞれの権限の範囲内でかつ国連憲章の原則に従って、キャンプおよび居留地にいる難民の安全を確保する条件を促すあらゆる努力を行うべきである。UNHCRにとって、この努力には、国連事務総長と緊密な連絡を保つことおよび適当な場合にはすべての関係者間の連絡を取りもつことが含まれる。また、この努力には、難民キャンプおよび居留地を保護する方法(可能なときは常に、出身国との国境から相当な距離をおいて設置することを含む。)について避難国と適当な取り決めを行うことも含まれる。
    4. 各国は、人道的な保護および援助の任務を遂行する高等弁務官と協力する義務を負う。当該任務は、高等弁務官がその関心対象である難民キャンプおよび居留地にアクセスできる場合にのみ、効果的に達成される。

*1国連総会文書No.12A(A/42/12/Add.1)に含まれている。