第69号 (XLIII) -1992- 地位の終止 *1

執行委員会は、

ある国における事情の変化が抜本的でかつ永続的な性質を有するため、当該国からの難民がもはや国際的保護を必要とせず、その国の保護を受けることを拒み続けることができなくなった場合(ただし、一定の個人について、やむを得ない理由により難民の地位の継続が認められる場合があることが認められている。)において1951年条約第1条c(5)および(6)の規定する終止条項を利用する可能性を強調した結論第65号(XLII)を想起し、

1951年条約の終止条項の適用がもっぱら締約国の判断によっていること、しかし、高等弁務官が、1951年条約第35条により同条約の規定の適用について監督するその役割に従って、適切な形で当該条項の適用に関与すべきであることを考慮し、

UNHCR規程によって与えられた権限が一定の難民について終止するという高等弁務官の宣言が、各国にとって、終止条項および1951年条約の適用に関連して有用な場合があることに留意し

難民の地位が出身国の情勢の一時的な(根本的ではない。)変化によって不必要に再審査されないことを保証するために、明確に確立した手続を用いた、終止条項の適用に対する慎重なアプローチが必要であると確信し、

  1. 「事由の消滅」に基づく終止条項の適用に関するいずれの決定を行う場合にも、各国が、国籍国または出身国における変化(迫害の恐怖に係る特定の原因のみならず人権状況一般を含む。)の根本的な性格を慎重に評価し、難民の地位の付与を正当化する状況が消滅したことを客観的にかつ立証可能な方法で確かめなければならないことを強調し、
  2. 各国による当該評価上必須の要素とは、変化の根本的、安定的かつ永続的な性格であり、そのことは関連する専門的機関(特にUNHCRを含む。)から得られたこの点に関する情報に基づく結果でなければならないことを強調し、
  3. 「事由の消滅」に基づく終止条項が、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を依然として有する難民には適用されないことを強調し、
  4. したがって、ある集団または階級に終止条項を適用するという決定の影響を受けるすべての難民が、個別の事案に関わる事由を理由として、要請により、自己に対する終止条項の適用を再検討される可能性を有するということでなければならないことを認め、
  5. 各国が、難民に苦難を強いる事案を避けるため、過去における迫害に起因するやむを得ない事情のため自国の保護を再び受けることを拒む者について、従前に獲得された権利を保全する適切な地位を検討するよう勧告し、ならびに、庇護国に長期にわたり滞在した結果としてそこに強固な家族的、社会的および経済的結合を有するに至ったため当該国を離れることを期待し得ない者について、関連機関が、その者の築いた状況を脅かさない適切な取決めについて検討するよう勧告し、
  6. 各国が、終止条項を援用する決定の執行にあたり、影響を受ける個人または集団にもたらされる事態をあらゆる状況において人道的に取扱うよう勧告し、ならびに、庇護国および出身国が、共同して帰還を促進するにあたり、当該帰還が公正にかつ尊厳を保った態様で行われることを確保するよう勧告する。適当な場合には、帰還民に対する帰還および再統合のための支援が、関連国際機関などを通じ、国際社会によってなされるべきである。

*1国連総会文書No.12A(A/47/12/Add.1)に含まれている。