UNHCR、中東危機の激化を受けて域内で対応を強化
UNHCR、中東危機の激化を受けて域内で対応を強化
2023年後半以降、パキスタンとイランから難民の大規模な帰還が続くなかで、2025年9月にトルハム国境を越えてパキスタンから帰還したアフガニスタン人
UNHCRは、中東地域で発生している危機の拡大を受けて、避難を余儀なくされた人々への支援を強化するため、イラン、アフガニスタン、そしてレバノン、シリアで活動しています。
多くの影響を受けている国々では、すでに何百万人もの難民や国内避難民を受け入れています。UNHCRは域内におけるこれまでの活動実績を踏まえ、この緊急対応で主導的な役割を果たす用意があります。
UNHCRは、1984年からイランに拠点を置き、首都テヘランと国内5カ所を拠点として活動する最大規模の国連機関であり、イラン国内の状況を注視しています。現時点で国内で避難を余儀なくされている人の数は確認できていませんが、情勢は流動的であり、政府からの要請に応じて支援を行う用意があります。
現在、イランでは、難民を含む国際的保護を必要とする165万人を受け入れており、物流面での課題がありながらも、UNHCRはこれらの人々への支援を継続しています。難民の受け入れセンターやヘルプラインは稼働しており、カウンセリングなどの支援を提供しているほか、保健、教育、社会的保護といったサービスへの支援も続けています。国内で活動するUNHCR職員全員の安全は確認されています。
今回の紛争以前から、イランで暮らす難民は、この国での深刻な経済状況の影響を受けてきました。高インフレと生活費の高騰により不安定な収入は圧迫され、就労機会へのアクセスも限られることから、多くの人が苦しい生活をおくっています。さらに、在留管理の厳格化や強制的な帰還の増加が不安定さに拍車をかけ、困難な状況のなかでアフガニスタンへの帰還を余儀なくされる人もいます。
UNHCRは、イランの主要な国境地点での備えを見直し、強化を進めており、すべての国に対して、攻撃から逃れてくる人々に国境を開放し続けるよう強く求めています。いかなる入国拒否もルフールマンに当たる可能性があります。
メディアの報道によると、トルコとイランの国境で人の移動が確認されています。月曜日時点では、国境を越えた人の数は通常の範囲内にとどまっています。アフガニスタンとイランのイスラム・カラ国境でも状況は安定しており、アルメニア国境での移動も限定的です。
UNHCRは、アフガニスタン国内の状況についても強い懸念を抱いています。難民や帰還民を含む民間人の保護は、引き続き最優先事項であるべきです。2023年10月以降、イランとパキスタンから約540万人のアフガニスタン人が帰還しており、その多くは自主的なものではありません。2026年に入ってからは、23万2,500人以上(パキスタンから14万6,206人、イランから8万6,253人)が帰還しています。
大規模かつ急いだ帰還は、保護のニーズを大幅に高めるとともに、アフガニスタンおよび地域全体のさらなる不安定化、さらなる避難につながるおそれがあります。
一方、アフガニスタンとパキスタン間の最近の対立は続いており、クナール県およびナンガルハル県では数千人が避難を余儀なくされています。クナール県は昨年の地震の被害を受けた地域であり、多くの帰還民を受け入れています。
UNHCRと人道支援パートナーは、帰還者の増加にも対応できるよう備えていますが、昨今の大規模な帰還と資金不足によりリソースは大きくひっ迫しています。実際に、資金削減の影響で、帰還民の支援のキャパシティは大幅に低下しています。UNHCRは、アフガニスタン、イラン、パキスタン、中央アジアにおける強制移動を強いられた人々の保護と支援のため、2026年に4億5,420万米ドルを必要としていますが、2月末時点でわずか15%しか確保できていません。
アフガニスタン国内では、トルハム国境近くのオマリ・トランジットセンター、スピンボルダク国境近くのタフタプル・受け入れセンターが攻撃の影響を受けています。現在、トルハム国境は閉鎖されていますが、スピンボルダクはアフガニスタン人の帰還民に開放されています。UNHCRは引き続き現場で、新たな避難や帰還民の動きに対応しています。
パキスタンとアフガニスタンでは、UNHCRのヘルプラインは引き続き稼働しており、難民や国際的保護を必要とする人々に対してカウンセリングや情報提供を行っています。
UNHCRは、域内全体で、地域および各国の備蓄から緊急支援物資を迅速に手配できる体制を整えています。イラン近くに戦略的に設けている拠点、ウズベキスタンのテルメズにも備蓄が配置されています。支援物資には、家族用テント、毛布、スリーピングマット、キッチンセット、バケツ、給水容器、ソーラーランプなどが含まれます。
より包括的な対応が必要となった場合、域内の多くの国では、財政的な支援が主要な形となります。アフガニスタン、イラン、イラク、トルコ、パキスタンなどでは、迅速な対応拡大を可能にする体制や仕組みがすでに整っており、必要に応じて動員可能な緊急対応要員をUNHCRでは確保しています。
一方、イスラエルがレバノン各地で激しい空爆を行うなかで、53以上の村の住民に避難警告を発したことを受け、レバノン南部、ベカー県、ベイルート南部郊外で大規模な避難が報告されています。
月曜日時点では、約3万人が政府指定の避難所で受け入れられ、登録されていました。これ以外にも、多くの人々が車中泊を余儀なくされたり、道路脇で夜を明かしたり、南部から退避しようとする車列の渋滞に巻き込まれたりしています。
UNHCRは、レバノンとイスラエルの国境沿いでの緊張の激化を深く懸念しており、情勢を注視するとともに、当局やパートナーと連携して対応に当たり、民間人の保護を強く求めています。UNHCRのチームは、レバノン各地の政府指定の避難所に到着する家族に対し、生活必需品の支援を行っています。
イスラエルによる退避命令を受け、レバノンからシリアに避難する人も増加しています。シリア当局によると、月曜日には約1万1,000人がレバノンから国境を越え、通常の1日平均を上回りました。UNHCRの職員はシリア側の国境に配置されており、レバノンからの避難の可能性に備え、シリア国内での支援物資の配布を含む対応を計画しています。
イラクでは、これまで大きな変化は確認されていませんが、UNHCRは国境当局と連絡を取りながら、引き続き情勢を注視しています。UNHCRは、イラン国籍の人々やアフガニスタン難民への支援に加え、必要に応じて政府の対応を支援する準備を整えています。
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