燃料を薪からガスへ~ロヒンギャ難民の生活を救う

UNHCRなどから供給された液化石油ガスボンベを運ぶロヒンギャ難民
© UNHCR/Roger Arnold

多くのロヒンギャ難民が暮らすバングラデシュのクトゥパロン難民キャンプ。燃料となる薪を確保するもの一苦労で、これまでは、毎日森の奥まで入って探す以外に手段がありませんでした。

「一日中薪を拾う日々。危険な作業ですし、恐怖におびえていました」と5人の子どもの母親であるモノワラは話します。「シェルター内に薪の煙が充満して、子どもたちは咳が止まらないんです」と夫も話します。

この周辺で暮らす62万人が必要とする薪の数は、一日約720トン。サッカーグラウンド4つ分の森が必要になるという計算になります。

薪拾いには、環境や健康、洪水対策、女性や子どもの安全などにも多くの問題がありました。「森の中には、お金を差し出せと脅してくる人もいます。誰なのかは分かりませんが、子どもが行くには危険すぎる場所です」と悩みを打ち明ける難民もいます。

世界最大ともいわれるクトゥパロン難民キャンプでは、竹と防水シートで作られたテントが所狭しと並び、夜には各テントから煙が立ち上っています。近郊の病院の医師は「難民キャンプでみられる健康問題で一番多いのは、薪の煙が原因のものです」と指摘します。

しかし、その心配もなくなりつつあります。UNHCRの支援を通じて、液化石油ガスボンベが難民や受け入れコミュニティの家庭に配られ始めたからです。

より安全で効率的な燃料を探すため、UNHCRは難民キャンプで調査を行い、安価で使い方も簡単、クリーンである液化石油ガスの使用を提案。バングラデシュ政府や他の国連機関と連携し、試験的に6000世帯にガスボンベと調理用コンロを提供しました。多くは地元で作られたもので、地域経済の活性化、雇用促進への貢献も目指しており、今後は20万世帯以上への提供を目指しています。

液化石油ガスの導入が進めば、女性や子どもたちも薪を拾う必要がなくなります。「子どもたちも元気になってきてうれしいです」と安心した表情で話すモノワラ。一刻も早く、危険な森に行く代わりに、すべての子どもたちが学校での勉強に集中できる日々が訪れることが期待されます。

 

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