シリア難民のパティシエ、故郷の味をエジプトへ

エジプトのギザでシリアのお菓子を売るお店をオープンしたシリア難民のバシャール
© UNHCR/Bregt Jansegers

2012年、シリア紛争の影響により故郷を離れることを余儀なくされたバシャール。首都ダマスカスでお菓子屋を営んでいましたが、着の身着のまま、家族とともにエジプトに逃れてきました。

「エジプトに来たばかりのころは、紛争は数カ月で終わると思っていた。でもここまで長引くと、仕事をしなければ生活していけない」

パティシエとしての技術を生かし、エジプトでもお店を開くことを決めました。

しかし、紛争で全財産を失ったバシャールにとって、一からお店を立ち上げることは容易ではありませんでした。エジプト人好みの味を研究するため、現地で調理器具を調達し、地元のシェフにも相談しました。

そして2013年10月、故郷ダマスカスのお菓子を販売する「ダマスカスのお菓子」をついにオープン。最初は一つしかなかったお菓子の種類も増え、今では2店舗を経営するまでになりました。

エジプトは13万人を超えるシリア難民を寛容に受け入れていますが、難民がエジプトで仕事を得る機会は限られています。UNHCRはパートナー団体と連携し、難民や庇護申請者に対する職業訓練や就職支援、起業の補助金支給などを通じた支援を行い、2018年には228人がその恩恵を受けています。

シリア紛争から8年以上がたった今も、500万人を超える人が国外に避難しています。

「どれだけエジプトで働いても、成功しても、私たちには帰るべき国がある。紛争が終わった時、それがシリアに帰る時なんだ」

バシャールはいつか故郷に戻ることを望んでいます。