故郷ってなに?詩で表現する南スーダンからの道のり

オーストラリア・メルボルンで暮らす南スーダン出身のビゴア
© UNHCR/Linda Muriuki

南スーダン出身のビゴア(28)が生まれたのは1991年、エチオピアの首都アディスアベバでした。当時、スーダン南部の紛争からエチオピアに逃れていたビゴアの家族。ほどなくして今度は親戚とともにケニアへ、オーストラリアに第三国定住したのは11歳の時でした。

もう遠い昔の記憶ですが、ケニアでの生活はとてもつらかったといいます。「授業料が払えないから学校に行けなかったのをぼんやりと覚えています」。

このような現実に、何世代にもわたって直面してきた子どもたち。2011年7月に南スーダンとして独立を果たし、ようやく平和が訪れると誰もが期待しました。しかし、2年後に再び衝突が発生。安全を求めて周辺6カ国に230万人以上が避難し、180万人以上が国内避難民となりました。その約6割は18歳未満の子どもたちです。

それでも、ビゴアはラッキーでした。オーストラリアでは学校にも通え、友達もできました。一見は、“普通”の生活。でも、何かが足りません。「“ふるさと”という感覚がよく分からないのです」。生まれた時から難民で避難生活を送っていた彼女にとって、それは当然のことでした。

転機となったのが、今暮らしているオーストラリアで、アフリカにルーツを持つ人たちに向けて開催された詩のワークショップです。「紛争が私の家族に何をもたらしたのか、詩として表現することで、少しずつ分かってきたような気がします」。詩の作り方を学んでいるうちに、自分の持つ何かをシェアしたいという衝動に駆られるようになったといいます。

最近、ビゴアは南スーダン人としての経験をつづった “Birth Water”という詩を書き上げました。

「実際の紛争からは逃れたものの、ずっと、なんとも言えない“新たな紛争”に放り込まれたような感覚がありました。自分はどこからやってきて、どうしてここにいいるのか、それを考える時間や場所を与えてくれたのが詩なのです」。

自分と同じ境遇にある難民の人たちにも、詩を書くことで自分の経験をシェアしてほしいと話しています。

 

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