日本政府による無償資金協力:「持続可能な帰還及び再統合のための人道的保護計画(UNHCR連携)」
日本政府による無償資金協力:「持続可能な帰還及び再統合のための人道的保護計画(UNHCR連携)」
シリアの首都ダマスカスで本協力の書簡の署名・交換を行った辻昭弘在シリア日本国大使館臨時代理大使とUNHCRシリア代表のゴンザロ・ヴァルガス・リョサ
日本政府は、シリアにおける持続可能な帰還と生活の再建を支援するため、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動に対し、7億9,200万円(約537万米ドル)の無償資金協力を決定しました。
2024年12月のアサド政権崩壊以降、これまでに120万人以上のシリア難民が近隣国から自主的に帰還し、国内避難民も190万人が元々住んでいた地域へ戻っています。そしてさらに、多くの人々が帰還の意思を示しています。
シリアは歴史的な瞬間を迎えていますが、14年にわたる紛争を経て、シリアの人々は多くの課題に直面しており、国内の9割がいまだ人道支援を必要としています。
最も深刻な課題のひとつが住民登録です。身分証明書や家族登録簿、出生・婚姻証明書、土地・財産の権利書などは、法的な身分の証明であると同時に、日常生活を送るうえで欠かせないものです。UNHCRが実施した保護に関するモニタリングでは、帰還した難民・国内避難民のおよそ4分の1が、自身または家族の誰かが、こうした証明書を十分に所持していないと報告しています。
今回の日本政府の支援を通じて、UNHCRはシリア政府と協力し公的証明書の発行機関の整備を進めます。帰還民や国内避難民、受け入れコミュニティの人々が法的身分を確立し、基本的な権利にアクセスできるよう支援することで、安全かつ尊厳があり、持続可能な帰還の実現に向けた条件を強化し、シリアの安定化と社会的結束に寄与します。
この支援により、何百万ものシリアの人々にとって、保護環境の改善と持続可能な再統合の促進に向けた大きな前進となります。
UNHCRは引き続き日本政府および国際社会と緊密に連携し、シリアにおける人道的な早期復興とレジリエンスの強化に取り組んでいきます。
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